決着の瞬間
私は桜流が分からなくなって、必死で廊下を走った。
なんで私の気持ちをそんなに簡単に本人に言っちゃうの?
しかも、あの人の事が好きって散々私を苦しめておいて、友達でいたい、って…
どういうつもりなんだろう?
今までずっと友達、心友と思っていた桜流が、友情が、たった今
全て音をたてて崩れていった気がした。
梨花…?
廊下で彼の後ろに見えた後ろ姿が、どこか梨花に似ていた。
どうしよう、今の聞かれたかな…?
私は、梨花との距離を少しでも埋めたかった。
梨花といないと、つまらない。
そんな気持ちから、思わず梨花の気持ちをバラしてしまった。
そうするつもりはなかったのに…
ごめんね、梨花。
そう思いながら、私は必死に梨花を追いかけた。
「梨花!」
「桜流… いまさら何?私聞いたから。」
「ごめんなさい!!さっきのは梨花のほうが大事だって、言いたくて、言うつもりもなかったのに言っちゃって…。私、梨花がいないとだめなの!あの人よりも、梨花といるほうが楽しかった、って、今やっと気づいたの!」
「え…!?」
私の知らなかった、桜流の気持ち。
そっか。
そうだよね。
考えてみれば、桜流が理由もなくそんなことするなんてありえない。
最初は許せなかったけど、なんでだろう?
「桜流…ごめんね。理由も聞かないで勝手に怒って…」
「ううん、私がわるいの…」
「もういいよ!」
やっと、この戦いが終わりを告げた。