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秘密の本は、わたしのお店で買いなさい!  作者: 日々一陽
第八章 ロコドルの純情
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第8章 3話目

「あ~ 授業終わった~」


 水曜日の放課後。

 大きく背伸びをして。

 やおら帰り支度を整えているとクラスメイトの市山が声を掛けてきた。


「今から文芸部かい?」

「いや、今日はちょっと用事があって、部室には行かないんだ」


「そうなのか。でも凄いよな文芸部。新聞への連載が決まったって?」

「ああ、これからその打ち合わせなんだよ、まだあらすじのOKも貰ってないんだ」

「ふうん」


 市山はチラリと教室を見回して。


「聞いた話だと、ラノベ部が揉めてるそうじゃないか」

「そうなのか?」

「ああ、星野がぼやいてた」

「あいつ、真面目に部活やってたのか?」

「らしいよ。「俺のハーレムが壊されていく~」とか言ってたけど。ハーレム担当副部長らしいじゃないか、あいつ」


 いつのまにか役職名が変わってる。

 『女子部員勧誘担当副部長』からステップアップしたのだろうか?


「で、何を揉めてるって?」

「さあ、詳しくは言ってなかったな」


 ラノベ部は色んな文学賞へ応募しまくる人もいれば、まったりとマイペースで内輪ウケネタを書き綴る人もいて、活動は勝手気ままなものだった。しかし最近、文芸部の活躍に触発されて夢野部長が何やら息巻いているとは聞いていたが。


「そうか……教えてくれてありがとうな」

「そりゃ、アニ友だしな」


 笑いながら市山は鞄を持った。


「じゃあ、俺は卓球部に行くわ」


 市山を見送ると僕も支度を調え教室を出る。

 今日は新聞小説の素案について宮脇さんと打ち合わせすることなっていた。

 僕は昨日の事を思い出しながら待ち合わせ場所に向かった。


「しかし、うちの部員達は本当によく喰うよな」


 『埠頭』の原稿〆切はまだまだ先なのに、みんな張り切って書き進めているらしい。書きかけの原稿を持ち寄って互いに意見交換していた。新聞小説のアイディアも話し合った意見を紙一枚にまとめて、それは今、僕の手元にある。みんなの頑張りは凄いが、その間に消えたポテチは12袋。


「燃費がいいのか悪いのか」


 でも、ちょっと誇らしい気持ちで歩いて行く。

 待ち合わせ場所は、日の出商店街にある雑居ビルの二階。

 いつか志賀先輩と入ったお店。

 『喫茶・シュレディンガーの猫』。

 『埠頭』への広告を予約してくれたお店だった。


 からんからん


「すいません、お待たせしました」

「いえいえ、僕も今ところですよ、それにまだ時間前ですしね」


 宮脇さんは微笑みながら顔を上げた。

 僕は宮脇さんの前に座るとアイディアを書いた紙を取り出す。


「まあまあ、先に注文しましょうか? 何にしますか?」


 こう言う時はコーヒーを頼むんだよな。ブレンドって言えばいいのかな?


「えーと」

「僕はチョコレートパフェにしますよ」

「えっ?」


 コーヒーじゃなくてもいいのかな? 今、凄くお腹が空いてるし。


「ちょっとメニュー見ていいですか……」

「どうぞどうぞ」


 何故か嬉しそうな宮脇さん。

 結局、僕はプリンアラモードを頼んだ。

 だって安いのに大きそうだったんだもん。


「ここのプリンアラモードはお得ですね。次からは僕もそれにしよう」


 パフェを頬張りながら宮脇さん。


「やはり若い人はいいお店を知っている」

「いえ、僕もこのお店は二回目で。ここにしたのは、このお店が広告を予約してくれたからなんです」

「なるほどね、でもいいお店じゃないですか」


 確かにそうだと思った。次に来たときは特大プリンアラモードにしよう。


「育ち盛りの高校生は甘いものが好きですよね」

「はい。 文芸部では、ポテチが大人気、ですけどね」

「ポテチはカロリー高そうだな」


 たわいもない世間話に花が咲き誇る。


「じゃあ、そろそろ本題に行きましょうか」

「すいません、無駄話ばかりして」

「いいんですよ、僕にとっては羽月さんとの会話は重要な情報源なんですから」


 そう言って笑う宮脇さん。


「えっと、この紙にまとめてきたのですが」


 僕はアイディアをまとめた紙を宮脇さんの前に広げる。


「推理小説にしようと思うんです。探偵は女子高生。で、毎回小説の中からクイズが出せる形にするんです」

「なるほど、考えましたね。いいアイディアだと思います。小説の中からクイズを出して貰うアイディアは採用しましょう。景品は皆さんの直筆サイン色紙ですけど」

「いや、それじゃ応募者ゼロですよ」

「冗談ですよ、景品は考えます。ところで、本筋の方ですけど……」


 宮脇さんの表情が急に真剣になった。


「もうひと工夫欲しいですね。主人公の女子高生達が、たまたま出かけたプラネタリウムや山頂公園やメイド喫茶で事件に巻き込まれるって言う設定も少し不自然ですしね」

「不自然、と言いますと?」


「いえね、普通、女子高生四人組がそういうところに出かけるだろうか、と言うことですよ。アベックでデートと言うのなら、まだ分かりますけど」

「なるほど、そうですね……」


「それに何か、主人公にもっと魅力が欲しいですね。普通の女子高生ってだけじゃなくて」

「そう、かもですね…… ごめんなさい。すぐに考え直してきます」


「あ、まだ時間はたっぷりありますからね。週末も掛けて皆さんでゆっくり考えてを練ってください」

「はい、わかりました。ありがとうございます」


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