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秘密の本は、わたしのお店で買いなさい!  作者: 日々一陽
第一章 新入部員は秘密の本屋さん
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第1章 5話目

 あっと言う間に半時間が過ぎた

 もう、校門をくぐる人影はほとんどない。


 僕たち四人は大きな声を張り上げ、プラカードを振り回し、ビラを配りながら歌って踊ってコントして、爆笑目指して頑張った。


 でも、手応えは……


「だめだったね……」

 小金井がぽつり呟く。


「頑張ったんですけどね~」

 マイペースな大河内もお疲れモード。


「やっぱり原因は全校集会ですかね~」

 

 今日の七時限目に行われた全校集会でのクラブ紹介。

 結局これが尾を引いた。


「翔平くんのクラブ紹介は凄く良かったのにね。運がなかったわね」

 小金井が僕を慰めてくれる。


 僕は一時間前に終わった全校集会の出来事を思い返した。


          * * *


 七時限目の全校集会。


 各部の代表者が登壇し三十秒ずつ自分達の部活動を宣伝していく。

 僕は文芸部代表として卓球部の後に登壇した。

 妹の忠告通り、精一杯の笑顔で全校生に向かって大きな声を張り上げる。



 みなさ~ん、文芸部で~す。

 文芸部リレー小説の主人公は高校一年生の美少女、美和みわちゃん。

 お兄ちゃんを深く愛する彼女の前に次々と現れる美少年。

 英国貴族の執事や財閥御曹司の許嫁、そしてミュージシャンの幼なじみ。

 妹の貞操を守るため、彼らに決闘を申し込んだ優しいお兄ちゃん。

 今、修羅場が幕を開けました!

 この続きが気になる皆さん、自分でリレー小説の続きを書きたい皆さん、

 是非文芸部へ来てください。

 待ってます!

 いつもニコニコ文芸部でした。



 結構ウケた。

 想像以上の拍手が巻き起こって、

 三十秒喋り終わったときの手応えは充分。


 でも。

 その後がいけない。


 文芸部の次に壇上に立ったのは、ラノベ部の部長、夢野勇馬ゆめのゆうま先輩。

 去年の秋まで文芸部だった夢野先輩は頭がキレる。

 その夢野先輩が壇上に上がる。



 ラノベ部です。

 ラノベ部のリレー小説では、執事も許嫁も幼なじみもお兄ちゃんも、

 みんな異世界に転生してしまいました。

 勇者となったお兄ちゃん。

 魔王の手下となった執事と許嫁と幼なじみ。

 果たして、天使に転生した美和は彼らの争いを止めることが出来るのか?

 そして秘密のベールに包まれた魔王の正体とは?

 気になる続きはラノベ部でどうぞ。

 ラノベ部はみなさんを待っています。

 ラノベ部でした。



 この瞬間、僕のプレゼンは吹き飛んだ。

 そして、ラノベ部は最大の喝采を浴びていた。


 悔しいけど、残念だけど、クラブ紹介はラノベ部の圧勝だった。


          * * *


「だいたいさ、冷酷最低な夢野の野郎が紹介したリレー小説ってラノベ部にはないわ。あんなの翔平くんのパクりで、その場限りの出任せに決まっているのに!」

 小金井が拳を握りしめる。


「そうです~、紹介の発表順が違っていたらあんなことにならなかった筈です~」

 いつもほんわかしている大河内も珍しく怒りの表情だ。


「ごめん。紹介順もクジ引きだったんだ。全部僕のせいだ」

 僕は俯いたまま話を続ける。

「実は、全校集会の後、ラノベ部には新たに五人の入部希望があったらしい。でも僕たちの文芸部には……」


「翔平くんは頑張ったじゃない。良かったよ。最高だったよ」

「そうです~、でもズボンのチャックを大解放してたら、もっと興奮しました~」

「どんな感性してんだ、大河内!」


 つっこみながらも彼女たちの優しさがとても嬉しい。

 でも、こんな素晴らしい仲間の期待に僕は応えられなかった。


「明後日の金曜日には今年の名簿を提出しないといけない」

 俯く僕を小金井と大河内は慰めるように。

「まだ二日もあるわ。何とかなるわよ」

「そうです~ 残り物には福笑いです~」

 意味分からなかった。


 と、立花さんが僕たちを見て。

「あの、わたしに出来ることは……」

「そうね、明日も一日、一緒に頑張りましょ。それで充分よ」

「はい、弥生先輩!」

「そうだね、何とかなるよ、心配いらない。大丈夫さ」


 そう言う僕には、しかし何のあても策もなかった。


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