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秘密の本は、わたしのお店で買いなさい!  作者: 日々一陽
第五章 秘密の美女(ボク)に恋しなさい
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第5章 7話目

 次の日。


 朝、登校すると星野と山本がクラスのみんなに言い訳をしていた。


「いや、本当に見たんだってば。モデルみたいでメチャ美人で。なあ山本も見ただろ!」

「うん、確かに廊下を歩いてるのを見たんだけどな。うちの制服着て……」


 このふたり、一昨日の放課後、『翔子ちゃん』の姿を目撃し、転校生だと早合点してガセ情報を流したらしい。残念だったな星野。でも元を正すとお前が悪い。土下座でもして謝るがよい。


 しかし『翔子ちゃん』の目撃者は結構な数に及んでいるらしい。

 今後、あの格好で学校をうろつくのは絶対やめようと心に誓いつつ、僕は授業の準備を始めた。


 そして放課後。

 掃除当番の役目を終えると大急ぎで部室に向かう。


 部室に辿り着くと、ドアに何やら貼り紙がある。



  危険区域

  部外者絶対立入禁止

  勝手に入ると火傷やけどするぜベイビー



 いつの間にうちの部は危険区域になった?

 

 トントン


 部員は入っていいわよ!

 中に入ると小金井が嬉しそうに化粧品の準備をしている。


「何だよ、この貼り紙」

「だってお化粧の最中に誰か来たら困るでしょ。翔子ちゃんは最終兵器リーサルウェポンなのよ!」

「……かもしれないね」


 僕はあっさり認めると早速化粧を始めて貰う。


「今日深山さんは?」

「立花さんと一緒よ。五時前にここへ来る予定よ。あいつらもね」

「わかった」

「『わかった』、じゃないでしょ翔子ちゃん。『わかったわ』ですよ!」


 言葉遣いの指導が入る。


「翔平くんって声が高いから声色は問題ないけど、言葉遣いには気をつけてよね。翔子ちゃんなんだから」

「わかった…… じゃない、わかったわ」


 自分で言ってて気持ち悪い。

 でも、これも大事な部員を守るため。

 やるぞ翔平! いや、翔子!


 鏡の中の変わっていく自分を見る。女装した僕は少し桜子に似ていた。さすがは兄妹。とんでもなく妙な気分だ。桜子には絶対秘密だな、この件は。


 やがて深山さんが現れた。立花さんに連れられて、俯いたまま無言だった。


「今日は私達に遠慮はいらないからね。あかねちゃんの思い通りでいいからね」

 深山さんを気遣って小金井が優しく微笑みかける。

「そうです~ ハチ公も抱いてあげてください~」

「はい、先輩方……」

 しかし深山さんの表情は堅いまま。

 唇を噛みしめたり、拳を結んだり開いたり、手を打ったり結んだり、股開いたり。落ち着かない。


「今日の羽月部長は翔子ちゃんスタイルなのですか?」

 我々の作戦を知らない深山さんが疑問を投げかける。

「そうよ。どうやら翔平くん目覚めちゃったらしくて、女装なしでは生きていけない体になったらしいの」

 うそ言うなよ、小金井!


「そうなんですか。とても似合ってますからね。きっと新しい人生が開けますね」

 新しい人生なんて開かないよ! 悟りもな。


 そんな、軽そうだが重苦しい雰囲気のまま時間は過ぎる。

 化粧も着替えも完了した僕は緊張しながら時を待った。


          * * *


 ドンドン


 ノックの音がする。

「はい、どうぞ!」

 立花さんの声と同時に一気にドアが開かれた。


「文芸部の諸君、約束の時間だ!」

 ドアの向こうには星野と月野君、それと踏み台に乗った夢野が並んでいた。


「イケメンシスターズ参上!」


 腰に左手を当て、右手は高々と掲げた三人のバカが胸を張って立っていた。

 小金井が立ち上がり彼らの相手をする。


「はいはい、いらっしゃい、イケメン姉妹しまいのみなさん」

「姉妹ではない、シスターズと呼べ!」

 胸を張ったまま堂々と答える夢野。


「どう違うのよ」

「横文字の方が、かっこいい!」

「でも、どうしてイケメンブラザーズじゃないの?」

「はっ!」


 何か気が付いたらしかった。

 赤面している。


「えっと、じゃあ今から改名する、『イケメンカルテット参上』!」

 どう見ても三人しかいなかった。


「それならイケメンシスターズの方がまだマシよ」

「何故だ?」

「お家に帰ってママに聞いて頂戴!」

 そう言うと小金井は溜息ひとつ。


「で、一応聞いてあげるわ。どういったご用件?」

「ふっふっふ。今日は予告通り、あかねちゃんを頂戴しに参った」


 その言葉と同時に星野と月野君が深山さんの元に向かう。


「待ったかな、あかねちゃん!」

「さあ、僕たちと一緒に行こう!」


 俯いていた顔を上げる深山さん。


「は、はいっ……」


 深山さんに向かってキザっぽく微笑みかける星野。

 その横で爽やかな笑顔を見せる月野君。


 出番だ翔子!

 そんな彼らの前に女装した僕は立ちはだかった。


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