『 不可視可視 』
「今日は肉屋のおじさんに落書きして、すれ違う小学生のほっぺたを抓って歩いて、野良猫の尻尾を引っ張って」
うまか棒心太味をもしゅもしゅ食べながら、彼女は誇らしげに今日の成果を語ってくれた。
「肉屋に小学生、野良猫さん……ね」
うまか棒を食べ終えて、口元を雑に拭う幽霊少女。
自称、幽霊少女。
「ああ、それにいつもの駄菓子屋さんか」
この街の人はとっても優しい。
毎日毎日彼女の遊びに付き合ってくれてる。
こっそり謝りに行くと、みんな笑顔で「気にしなくて良いよ」って。
この街の人はとっても賢い。
思わず頭を掴んでにぎにぎしてしまい『見える特殊な人』として保護者になってしまった僕と違って。