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ブック・オブ・ザ・ワールド  作者: 柏ノ木
ゲームの世界
7/12

報酬と剣

 「はい、依頼達成でございます。あとは害獣駆除のクエストを達成しましたら、本登録となります。では、報酬でございます。」


 役所の人に薬草を納品する。薬草は一個100ゴールド。10個納品したので、ボーナスが一個分の100Gついて、合計1100G手に入った計算だ。


 「ではお納め下さい」と、小さい銀貨と銅貨らしき物を一枚ずつ渡された。これはと聞くと。


 「小銀貨は1000Gです。そちらの銅貨は100Gでございます。あと支度金として小銀貨1枚でございます。こちらで、武器、防具等をお揃え下さい。次のクエストは危険が伴いますので、装備を整えて再度、受付までご足労お願いします。」


 説明を受けて、二人は役所をあとにする。 


 サイは、今しがた得たゴールドをまじまじと眺める。銀貨には女の人が描かれている。銅貨には戦士の絵柄だった。


 「薬草なんて、もっと安いと思ってたのに、結構儲かるのな。」 


 「と、思うでしょ。それが違うんだな~。ここって、生活費が結構掛かるのよ。食事代とか宿代とか、ポーションだって、安くはないわ。ポーションいくらだと思う?最低の効果で500円。良質な物で1000円はするわよ。あと、隠しステータスなんだけど、疲労度ってのがあるわ。食事や睡眠を摂ってないと疲労度が溜まって身体が上手く動かないわよ。」


 生活費まで掛かるのか。かなり凝ったゲームだとは聞いていたが、生活費まで気にしないといけないのか。


「あと、お金の説明もしなきゅいけないわね。この世界の貨幣は6種あるわ。まずは大金貨、日本円で100万、小金貨は10万、銀貨は1万、小銀貨は1千円、銅貨は100円、小銅貨は10円。ただの数字ではなく、ちゃんと財布に入れてお金は持ち歩かないと使えないからね。現実世界と一緒ってことよ。銀行は、街の北側。また今度案内するわね。」


 スリにも気をつけなきゃだめよと最後に付け足す。


 「じゃあ、装備を整えなきゃいけないのか。そういえば、知り合いが店をやってるって言ってたっけ?何の店?」


 「知り合いが鍛冶屋やっててさ、あんたの事話したら、安く売ってくれるってさ。そこで色々揃えましょ。私も、そこで最初揃えたのよね。懐かしいな。」


 あとは、財布も買わなくてはいけないかな。あの市場を見て回るのは面白そうで、胸が躍っていた。二人は市場へ向う。






 二人は、まずミーナの知り合いの店に直行した。店は南区のはずれにあった。外観は、至って平凡だが、でかい看板が店先に縦に立て掛けてある。


 看板には「三ツ矢武具商店」と書かれている。


 引き戸を開けると、店内の壁に様々な武器達が掛けてある。右の壁には剣や刀など刀剣類があり。左の壁には、武具類が揃って掛けてあったり、棚の中に揃えらている。


 

 「三ツ矢さ~ん。来ました。居ますか?」


 と呼ぶと。奥からの扉から作務衣を来た男性が出てきた。長身で髪は黒い短髪で、顔の美形ではないものの素朴な顔をしていた。ミーナと並んでいる光景はとても合っていなかった。彼が原因ではなく、金髪碧眼のミーナがあまりにも、この男性と店に合ってないだけだである。


 「こいつが、友人のサイです。はい、あいさつする!」


 ミーナに急かされて、あ、サイです。よろしくお願いしますと言うと。


 「こんにちわ。三ツ矢 星辰せいしんです。お見知りおきよ。今日は、武器と防具を見繕えばいいのかな?ちなみに、何を主武器にしたのかな?」


 剣術スキルを得たので、剣にしましたとサイは三ツ矢に伝える。


 「ふむ、ミーナちゃんには借りがあってね。売れ残ってる防具があるから、格安で譲ろう。残りの資金で武器を買うといい。」


 「いいんですか!!ありがとうございます。あ、でも剣はあるんでいいかなと思います。」


 そんことを言うサイに、ミーナが所詮、最初に貰う武器でしょと、違うよ、これだよと言って、サイはあの、骸骨に刺さっていた剣を出現させる。

 

 「これは・・。君はこれをどこで・・。今日始めたばかりのはずだが。これは凄い物だ。」


 三ツ矢は剣を手に取り、そんな事を言った。顔は驚きを通りこして、嬉しそうだった。


 「サイ君。僕は鑑定スキルを持っているんだ。鑑定スキルは、武器~アイテムの詳細を知るスキルだ。僕の鑑定スキルレベル最大でね。最大になれば、ほぼ鑑定出来ない物はなくなる。でもね。」


 三ツ矢はここで、いいかい、と言って言葉を切る。


 「僕でも鑑定できない物がある。それは、神代の遺産や人ならざる者が創造したものだ。ゲーム内ではほとんど出回らないアイテム達だ。ミーナちゃんの槍も僕では鑑定不能なんだ。使用する本人が武器の性能を引き出すしか、知るすべはない。結果を言えば、どんな力を秘めた物かは僕には分からない。良いものを見せてもらった。これなら、今は武器はいらないだろう。余裕が出たら、他の剣も試してみるといい。武器それぞれには個性があるから、色々試すのもこのゲームの醍醐味さ。」


 あの骸骨を倒して、手に入れた物だ。きっと良いものだとは思っていたが、鑑定不能だとは思わなかった。剣を受け取り、心で剣にこれからよろしくな相棒と言った。


 ミーナは、あとで説明してよねとサイに迫る。三ツ矢はというと、今、用意してあった物を持ってくるから待っていてと、奥の部屋に入っていってしまった。


 とりあえず、店内の商品を見て回る。そこには、単なるグラフィックには無い鋭さ、重さが備わっていた。サイにはここが本当に存在しているとしか思えない様な感覚が芽生える。それほど、精巧すぎる世界。本当に異世界に来てしまった様だと心で思ったのだ。


 「お待たせしたね。これだよ。」


 カウンターに置かれたそれは、胸当て、ベルト、靴、グローブ。そして、目を引いたのは藍色のマントだった。


 「これって、岩窟竜の胸当てじゃないですか!?それに、このマント!!」


 ミーナが驚きを隠せず、三ツ矢に言うと。


 「ミーナちゃんの借りもあるし、それに見物料だよ。岩窟竜のかけらの寄せ集めで製作した物だから気にしないでよ。これから、お得意様になってもらえれば構わないからさ。サイ君、期待しているよ。」


 お代は1000Gでいいと三ツ矢は言うが、ミーナは納得出来ないと言って代わりに私が立て替えると引き下がらない。三ツ矢は、「じゃあ、これは一つ借りにしておこうか。それでいいね。」


 その言葉でとりあえず、ミーナも納得して、これにて商談は成立。


 サイは、装備欄で今得た防具を装備する。一瞬で、今着ている防具と入れ替わる。藍色のマントは美しく、岩窟竜の胸当ては思ったほど重くはなかった。グローブも違和感なく使いやすい。


 「ふむ、なかなかいいわね」「サイ君、かっこいいよ」と両名。


 サイは足を上げたり、腕を回してみたりと動きの具合を確認。少し剣を振ってもいいですかと、許可を得て、素振りをした。風を切る音が気持ちいい。装備をしてもなんなく振るうことが出来る。自分でも本当に強くなった気がして、誇らしかった。


 そして、二人は店を後にした。


 三ツ矢さんは店先まで出てきて、見送ってくれた。感謝しきれない恩が出来てしまった。単純にネットの付き合いでは得られないものがここにはあった。


 まるで現実で在るかの様に。 


 

なかなか、書くのは大変ですね。次回は市場を回ります。

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