人妻の友人
お気に入りして頂いた方ありがとうございます。大変嬉しゅうございます。これから更に精進致しますので、よろしくお願いいたします。
「さてと。そろそろお出迎えに行きますか。」
そこには軽鎧を身に付けた女性がいた。。体躯は160前後だろう。手には蒼色の短槍を握っている。髪は金髪のショートカットであるが、染めて出した色合いではなく天然の澄んだ金色だった。
彼女はこのゲームに誘った友人がこの世界に来るのを待っていた。友人とは前の職場で意気投合、自分は寿退社したものの今でも良き友としての関係である。そんな彼女は、いつも贔屓にしているカフェで珈琲とショートケーキを食べ終えて会計を済ませる所であった。現実的に食べている訳ではないものの、此処は味覚までもが再現され幾ら食べても太らないと女子達には喜ばれたが、反面現実では空腹感が減少し過ぎて問題にはなっていた。
街の大通りにあるカフェから真っ直ぐ神殿へと向かう。この街は始まりの街であり、必ずプレイヤーはこの街にまず召喚される。街の北側は役所や公共機関の施設があり、南は商業施設や市場がある。東は居住区となり西側には神殿や教会、ギルドなどの施設が建っている。
待ち合わせは12時頃だ。チュートリアルがあるだろうから、12時半には会えるだろうと考えていたのだが来ない。女の子を待たせるとはお偉くなったものだ。もう1時を回っている。
「むう。来ない。どうしたんだろう。」
メールをしても返事はない。行き違いかもと少し不安になったが、もう少し粘ることにした。
神殿の広間には、この世界を維持していると言われる女神の像が祈りを捧げている。プレイヤーはこの像の前に召喚される事になっている。何故、女神の前に召喚されるのかと言えば、世界を脅かす存在から世界を救う為に異界から女神が冒険者を召喚しているとの事だ。死んだ場合もここに転送される。
女神は何を想って祈っているのだろうか・・・。
彼女は壁に寄り掛かって女神像を眺める。何人かの新規プレイヤーが現れるがどれも違った。そんな新人達を勧誘しようと他のギルドのプレイヤーが声掛けを行っている。
ギルド。プレイヤーの集団である。主に戦闘系ギルドと生産系ギルドに分かれる。戦闘系は狩猟や採掘、採取など、フィールドでの活動が多い。生産系は、武具類、アイテム、食べ物などの製作を主に行う。自分たちでも制作に使用する物を調達しに行くことはあることはあるが、本業は職人だ。。規模が大きいギルドは、部門として調達と生産を分けている所もあるにはあるが、それは特別である。
「にゃ、そこにいるのは麗しのミーナ嬢ではありませんか。今日もお美しいですな。今日は、大変運のいい日ですな。うん。うん。」
壁に寄りかかって居る彼女に、猫耳の男が気安く彼女に声を掛ける。髪は黒、耳も黒くとてもいい毛並みだ。顔の造形は良い。尻尾の先は白い。
「タク坊、こんなとこで何してんの?」
タク坊と言われた猫耳男はああ~と言って説明する。
「ちと、友人待ちですにゃ。ミーナ嬢は何をしてるにゃ?」
経緯を掻い摘んで説明。そろそろ来るんだけどなと思って待っていると伝える。その時、こちらに近づいてくる者がいた。それはタク坊に声を掛けた。
「あの、タクさんですか?静香です。今日はよろしくお願いします。」
おずおずとその子は話しかけた。木の杖を持ってローブを羽織った少女。赤茶の髪に澄んだ瞳がとても綺麗だ。
「しずちゃん、待ってたにゃ。大丈夫だったかなにゃ?こちらは、麗しのミーナ嬢にゃ。」
ミーナはその格好に注目した。
「一言多いわよ。えっと始めまして、私はミーナ。タク坊とはお友達。よろしくね。君、魔術師になったんだ。幸運だね。」
「あ、始めまして、私は静香です。タクさんとは学校の友達です。えっと、魔術師ってそんなに珍しんですか?こうゆうの始めてなんです。」
「しずちゃんそれは、僕が追々説明するにゃ。取り敢えずギルドメンバーに紹介しなきゃにゃ。」
三人は少し話をして、二人は神殿から出て行った。静香はミーナにぺこりとお辞儀をして、ミーナは可愛いなと微笑む。ミーナの心と気分はほっこりとした。
で、女神像へと目を向けると、女神像の足下に座り込んで惚けている青年と目が合った。
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骸骨を倒し光が身体を包んだと思ったら、女神像の足下に座っていた。辺りを見ると金髪で蒼い槍を持った美女と目が合った。
事前に言われた通りの格好をした友人がいたが、想像したよりも遥かに美人がそこにいた。現実の友人はそこそこの容姿で可愛い部類だが、今の彼女はアイドルでもモデルでも通用するような美貌を持っていた。
自分が今、地べたに座っている事に気づいて立ち上がると、友人がこちらに近づいて来る。
「えっと、みなだよね?ごめん、ちょっとあって遅くなった。」
と、説明はせずに謝る。
「まあ、いいわ。その代わりにこってり指導してあげるからね。」
その声はいつもの友人の声色であった。目はニヤリと笑っていて、きっと自分にとっては良くなくて、みなには楽しい事があとに待っているのだろう。
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場所は移動し役所にいる。ゲームなのに役所に来るなんて思いもよらなかった。自分もそれなりにゲームをプレイしてきたが役所はあまりない気がした。何故役所に来たのかと説明を受ける。
「まず、冒険者として此処で登録しないと正式なクエストを受けれないし、ギルド自体も役所に届出を出さないと設立出来ないの。直接、ギルドに依頼が来ることもあるけど、クエストを管理しているのは役所で役所に登録していない者は受けれない設定になってるの。サイなら大丈夫だろうけど、ちなみにあまりにも悪質な行為をやり過ぎると除名と追放があるから気をつけてね。」
役所自体はあまり大きくはなかった。受付カウンターは5つあり、数人のプレイヤーが受付の順番を待っているのだが、全身を覆う鎧を着たプレイヤーや、侍みたいなプレイヤー、黄色い尻尾が三本お尻の所からふりふり出ている獣人などなどであった。それを見て、本当に此処は異世界なのだと関心した。自分も整理券を貰いとりあえずイスに座って順番を待つ。
10番の方どうぞ、と呼ばれ番号を確認して受付に向かう。登録はこうだ。
まず、仮登録を行い、実力を確かめる為に指定のクエストをクリアすると本登録が完了する。指定クエストは薬草の採取、害獣駆除の二つである。書類にサインをして仮登録を済ませると、役所を出る。薬草採取をクリアすると、支度金が出ると受付の人が言っていたのでひとまずは薬草の採取を済ませなくてはいけない。支度金は1000ゴールド出るそうだ。それで防具類を買おう。武器はあるからな。
「みな、とりあえず採取のクエストクリアしようか」
そう声を掛けると。
「違うわよ。此処では、ミーナ。ミーナよ!成りきってよね。雰囲気台無しじゃない」
「あ、そうか。ごめん、ごめん。それで、街を散策したいとは思うのだけどちゃちゃっとクエストクリアしよかなと思う」
そうね。それじゃ案内するわと言ってすたすたと歩き出す。その歩きはかなり早かった。聞けば、身体能力が高くなっているからだと言う。そういえば、自分の身体もかなり軽く動けるのに気づく。便利だなと現実でもこれだけ動ければどんなに良いかと想像した。
これからの事を想像するととても胸が高鳴って来た。
次は人物設定を載せるかもしれません。