おまけ
第1章のおまけの小話です
「・・・・カラオケ?」
「そう、カラオケ」
泣くだけ泣いて落ち着いた姫条を氷室はカラオケに連れてきた
彼なりの配慮だろう、大声を出せば少しは楽になれるのではないかと考えた
「・・・・まぁ、家に帰っても悶々とするだけだし・・・いいかも・・・」
「そうそう、歌って少しは元気出そうぜ?好きだろ?カラオケ」
「うん、まぁ・・・・嫌いじゃない」
嫌いじゃない、それはつまり好きということなんだろうな
なんでこう素直じゃないんだか・・と氷室は心の中でため息をつくが
なんだかんだと姫条の面倒を見てしまうあたり
氷室は姫条のことを結構気に入っている
「いつもみたいにノリノリで歌ってくれよ?」
「悪いけど、私いまはしっとりとねっとりと歌いたい気分なの」
姫条はいつもカラオケでは盛り上げ役だ
うまいとか下手とかではなく盛り上げ上手だ
氷室はあまり歌うことは好きではないが
盛り上げ上手の姫条につられてなんだかんだと歌ってしまう
そんな姫条だから、しっとり、ねっとり歌うなんて予想がつかない
どうなるんだと妄想していたら、いつの間にかイントロが流れてきた
こ、これは・・・・・
明らかに失恋ソング、うわ!ベタな歌入れやがった
どうしようか・・・これから2時間、こんなベタな失恋ソングが続くのだろうか
オレはどういう反応をすればいいんだと氷室は困惑した
そんな氷室の心配をよそに姫条が歌いだした
「う・・・・・ま・・・・」
氷室は驚いた
なんだこれ!!
いつもの姫条と全く違う
プロだ・・・今すぐデビューするべきだ!
なんだこいついつもと・・・・
「おまえ!いつもと全然ちがうじゃねーか!」
氷室の叫びを無視して姫条は歌い続けた
氷室の予想通り失恋ソングのオンパレードだが
どれもこれも歌のうまさに胸が締め付けられ
なんだか少し泣けてきた
なんだかんだと2時間
氷室は姫条の歌に感動してしまったのだった




