第26話
「・・・・・?もしもし?」
「もしもし」
「おまえなぁ、今授業中だぞ」
「じゃあ、なんで電話でるの」
「おま・・・・」
和馬と2人、気が済むまで泣いて
これからもよろしくって握手をした
一緒に教室戻ろう?って和馬は言ってくれたけど
まだ1人でいたくて断った
和馬に好きと言ったことは後悔していない
でも、あぁ、これで完全に失恋したんだと思ったら
また悲しくなって涙が出てきた
1人になりたいはずなのに、1人でいるのがさみしくて
気が付いたら氷室に電話をしていた
授業中だって言ったくせに電話に出てくれるあたり
氷室だって十分お人好しだと思う
「ねえ、苦しいよ・・氷室」
「姫条・・・?どうした?」
「断ち切るって難しいね、ははは、何言ってるんだろ、ごめん、切るわ」
「待て!どこにいる」
「・・・・・なんで?」
「いいから!どこにいるんだ!?」
「屋上・・につながる踊り場んとこ」
「わかった!そこ動くなよ!」
まさか、ここに来るつもりなんだろうか
だとしたらなんで?
氷室からすれば私なんてちょっと仲のいいクラスメイトなだけなのに
あぁ、本当にお人好しだ
遠くから誰かが走ってくる音が聞こえる
階段の手すりから顔をのぞくと
汗をかいて息を切らしている氷室の姿が見えた
「氷室・・・」
「はぁ・・・屋上って意外と遠いんだな」
「なんで来たの?」
「なんでって・・・・あぁ、なんでだろ」
「何それ」
理由もないのにここまで来たわけ?走って?そんな汗までかいて?
「バカ・・・だ」
「バカっていうな、そうだな・・・心配だったからでいいんじゃねぇか?」
「心配って・・・」
はーっと息を吐いて氷室が私の目の前に腰を下ろして
私に目線を合わせると「ほら」と両手を広げた
何してるんだ?という私に「来いって」とわけのわからないことを言う
「こういう時は男の胸で思い切り泣くもんだろ?」
「なっ!なんであんたの胸で泣かなきゃならないの!」
「自分の膝抱えて泣くよりずっといいだろ、いいからほら!」
と強引に私の腕を引っ張って、自分の胸の中に収める
抵抗してみたけど、抱きしめる力が強くて抜け出せない
「暴れるなって、素直になれって」
「・・・・・・・恥ずかしい」
「恥ずかしいか?誰も見てないぞ?」
そういうことじゃないんだけどなって言おうと思ったけど
氷室の体温が心地よくて
もうこのままでもいいやって気になってきた
「制服、洗って返す」
「別にいいって」
「そんなこと気にしなくていいから思い切り泣きなさい」と
今度は優しく頭を撫でられる
それが心地よくて、緊張の糸が切れて
もう出ないと思っていた涙が、堰を切ったようにあふれ出した




