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帰還、解決されて

 気がつくと俺は布団の上に居た。

「無事ですか?」

 いつの間にか、いや、俺たちが此処に現れたのか、隣に居た紗奈が焦ったように言う。この世界は…

「元の世界だな」

「ちょっと疲れたかなー。ってか紗奈、何で繋がり切るのさ!」

「何しろ初の試みでしたので…まさか気を逸らしたら切れると思いませんでした」

「次からは気をつけてよね」

「了解致しました」

 何故気が逸れたかは聞かないのか。というか俺も雹に言いたいことがある。

「あの札。どういうことだ」

「何が?どうかしたの?問題無く発動したでしょ」

「右腕超痛いんだが」

「まあそれなりの代償は払わないとね」

「それなりか?」

 今でもじんじんしている。

「んなことはどうでもいいの。さ、私の家に行くよ」

 どうでもよくはないんだけど。

「何で雛多ヶ宮家に?」

「あの幻影について調べるの。ほら、ウチの宝刀『断黒』持ってたでしょ。今は此処にあるけど」

 鞘に納められた長刀を指差す。

「『風凪』についても調べたいし。さ、行くよ」

 俺の腕を引き、歩き始める。やれやれといった感じで時雨と紗奈がついてきて、その後ろを霙が歩く。

「此処」

 まず目に入るのは、鳥居。どうやら雛多ヶ宮家は神社のようで。

「此方が家」

 と鳥居をスルーし、少し進んだ先にある、無駄にでかい門を潜る。

「でか…」

 広い敷地に大きな、如何にも日本風な屋敷があった。

「書庫の鍵取ってくる。霙案内お願い」

「はーい。此方です」

 離れに案内され、雹の到着を待つ。

「おまたせ」

 鍵を開け、戸を開く。電気を点けると、幾つもの本棚にこれでもかと本が詰められている。

「刀剣についての本がどっかにあったはず…霙知らない?」

「たぶんあっちかな」

 霙を先頭に歩く。

「この辺ですね」

「片っ端から読んでいこう」

 片っ端から読む必要もなく。

「此れじゃないのか。『雛多ヶ宮の宝刀』」

 時雨が一冊の本を手に取る。

「あーそれそれ」

 時雨が開く。其処に書かれていたのは次の通り。ただし要約。

 霊刀『風凪』は他者を救い、犠牲を背負った風凪時雨を弔う為に雛多ヶ宮によって造られた宝刀。

「やっぱ時雨のことだったんだな」

 暫くは祠に捧げられていたが、とある人物が此れを奪取。奪取した人物は雛多ヶ宮の者であり、理由は不明。

 雛多ヶ宮は当然善しとせず、その人物は抵抗するように『断黒』で身内を殺害。

 激怒した当時雛多ヶ宮の当主、雛多ヶ宮 がいは名もなき刀でその人物を斬る。

 その刀が聖刀『無銘』。『爛赤』は『断黒』と対になるよう造られた刀。

「『断黒』は強い恨みによって呪われていた?」

「だろうね。別世界を造り出すほどに」

「私大して関係ないじゃないか。というか恥ずかしい」

「関係大有りだろ…」

「今の『断黒』からは何も感じない。呪いは解かれたみたいだね」

「時雨は納得出来るけど、俺は何で連れていかれたんだ?」

「時雨の依り代だからでしょ」

「それか霊に懐かれやすいからでしょうか」

「殺されそうになったけどな」

 大昔の恨みを現代まで持っているとは…

「いつぞやのマカに憑いていた霊ではないのか」

 そうか時雨は聞いていなかったか。

「別だよ。アレは私が斬ったから」

 殺意が溢れていたあの霊にも、事情があるのだろうか。帰り道、そんなことを考えながら歩いていた。



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