騒音、流れていくままに
「勝手に人の中に入ってくるなよ!」
『借りると言っただろう。それに、受け入れているなら問題無い筈だ』
時雨はどうやら、雹に乗り移っているらしい。無茶苦茶なやつらだな、ホント。
というか、ここで何かするつもりか!
「待て…!」
遅かった。雹(時雨)の踵落としがテーブルにヒット。テーブルが盛大に真っ二つになった。
「お前ら…」
『何でこんな得物なんだ!』
「それしか無かったんだよ!」
『模造刀は!』
「家に置いてきた!」
ジャックナイフを振り回しながら叫ぶ。雹(時雨)には、俺の声は聞こえていない。
「私の体なんだから、もっと無理の無い動きをしろよ!あとで痛くなるだろ!」
『普段から動かないほうが悪い!』
常人では理解出来ないような動きをしている…と思う。かなり暴れているはずなのに、被害は今のところテーブルのみ。
「あっ」『あっ』
霊が一瞬バックステップ。雹に隙が出来る。
ぱりーん、と、聞きたくなかった音をたてて、霊逃走。
「追うぞっ!」
雹(時雨)が割れた窓から霊を追う。何だこれ。
「どうすっかなぁ…これ…」
俺は呆然と、荒れたダイニングを見詰める。
「わ、私に出来ることなら致しますので…」
紗奈が優しく声を掛けてくれる。二人にも見習ってほしい。
「地縛霊って不便だな!」
「そんなに不満なら一人で追いかければよかったじゃないか」
ギャーギャー騒ぎながら、二人が帰ってきた。
「急に転けたから何だと思ったらアレ以上進めないんだな」
「百メートルもなかったな」
ただでさえ窓が割れてご近所さんたちが集まってきそうなのに、騒ぐんじゃない。
「大体、なんで乗り移ったんだ」
「お前が頼りなかったからだ」
「ああ?」
喧嘩でも始まりそうだったので、家の為にも俺は二人の間に割って入る。
「見ろ」
俺はダイニングを指差す。真っ二つのテーブル、粉々の大窓。大いに反省してもらいたい。
「これは私が何とかするよ。心配ナッシン」
心配が止まらない言い方はやめてくれ。
「まあいい…マカの方は?」
未だ動かないマカの方が心配だ。
「霊は出て行ったけど、経過観察だね。問題ないとは言えない。原因がアレ一つだとは限らないし。そろそろ起きるから、ほら、今日はもう帰してやって。これ見られたら説明面倒だし」
ということで、マカは玄関先まで運んで座らせたところで目覚め、何をしていたのか思い出せないことを不思議そうにしていたが、気のせいだろ、と言って適当に納得させておいた。心配なので、今日はなんと言おうと家まで送っておく。
テストも近いのに、なんだってこんなに騒がしいのだろうか…




