表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/72

朝、始まり

 朝、携帯のアラームに起こされた。

 カーテンを通して太陽光が眩く差し込んでいるところを見ると、今朝は晴天のようだ。

 ベッドを見ると、二人の姿は既になかった。

 一階へ降りると、

「あ、御早う御座います、玖乃川様。朝御飯の準備もう少しで終わりますので、座って御待ち下さい」

 やたらに「御」が多い言葉で挨拶された気がする。

 霧咲の手には、焼き鮭が乗った皿。

「おはよう。何を用意するかの相談でかなり時間を使ってしまったが、間に合ってよかった」

「おは…よう。何でまたそんなことを?」

 寝起き且つ、今までと違う光景なので頭が追い付いていない。とりあえず、昨晩のことは現実であることは確認。

 テーブルの上を見ると、トーストとバター、ココアに、剥いてある林檎。

「何を用意すればいいのか分かりませんでしたが、とりあえずそれらしい物を並べてみました」

 霧咲が、洋食なテーブルに焼き鮭の皿を置く。

「これからは、出来る限り私たちが家事を行うことにした。異論は聞くだけ聞いてやろう」

 仁王立ちで偉そうに構える時雨。

「…異論はないけど…いいのか?」

「私たちはここに御世話になる身ですから。これくらいのことは当然です」

 霧咲は宜しく御願い致します、と頭を下げる。

 まあ楽出来るならいいか。

 椅子に座ると、手元には朝食、目の前には時雨が座っている。そういえば、朝食を誰かと一緒に食べるのは久しぶりだな…

「林檎は私が切ったんだぞ」

 妙に嬉しそうに時雨が言う。他の料理は紗奈が作ったんだがな、と付け加えた。焼くかコップに入れるかの作業しかないけどな。

「林檎を剥くときに、五回程指まで切ってしまった」

 左手をぶらぶら振って見せる。

「大丈夫なのか?」

「まあ、痛みは感じないし、血も出ないし、半端な傷はつかないし」

「切り落とす勢いで切ってましたね」

 非日常的な会話。

 もし切り落としてしまったらどうなるのだろうか。くっつくのかな。不馴れなだけか容赦がないのか。

「今回は林檎だけで精一杯だったが…次こそは…」

 クールな顔して、声には意気込みを感じられる。どうやら前者だったようだ。

 それを遮るかのような真剣な顔で、紗奈が言葉を発した。

「あの、急いで食べないと間に合わないかも知れないです。いつも何時に家を出られるかは、分かりませんが」

 時計を見る、と、いつも朝飯を食べ終わる時間よりも、二十分程遅れている。もしかしたらアラームはスヌーズで起きたのかも知れない。昨晩は疲れていたし。

「ああ、やばいな」

 間に合わない可能性が。

「片付けはしておきますので、準備の方を」

「すまん、任せる」

 急いで二階へ上がり、制服に着替え鞄を掴んで駆け降りる。霧咲と時雨が玄関先で待っていた。

「急ぎましょう」

 一人、地を蹴り走り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ