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説明

月火は更新できないから間が空くなぁ……。

「それでは、お仕事の簡単な内容について説明しましょう」


楊さんはそう言うと、ホワイトボードに何かを書いていく。


「私達死神は本来、魂を導くことが主な任務ですが、この霊感お悩み相談室、正式名『現世霊魂管理局』では霊魂や人の悩みを解決するのが主な仕事です」


「ええと……人間や霊魂の悩みを解決する? なぜそんなことを?」


疑問を口にして聞いてみた。楊さんはいい質問です、と返した。なんだろう、どっかのバラエティ番組でこのやり取りを見た気がする。


「このやり取り、『坂上明夫の学べる経済』に似てますね」


あ、楊さんテレビとか見るんだ。意外だ。結構見た目的にきつい感じがする人だから、ああいう俗物的なものは見ないのかと思った。


「……何か失礼なことを考えませんでしたか?」


「いっ、いえ何も!」


心を読まれた!? 死神って心も読めるのか!?


「……話を続けます。人間は誰しも悩むもの、これは生きる者の宿命であり、逃れえぬものよ」


そう言って人の絵を描いていく。あ、結構ファンシーでかわいい。なんか画風がぷにぷにしてて好みだ。意外とかわいい物好きなのかもしれない。


「この悩み、生きているうえで大抵は解決していくものなんだけど、極稀に大きな悩みを抱えた人が解決できぬまま死んでしまうこともあるの。悩みを抱えたまま死んでいくと、霊魂が現世に縛られたままとなり、自力であの世への入口へ行くことができなくなってしまうの」


ふむふむ。小さな悩みなら死んでも未練にはならないが、大きな悩みは未練となって魂が現世に囚われたままになる、と。楊さんの話では、死神は基本現世には訪れず、死後の世界、あの世の入口で待機しているそうです。あの世には三途の川があり、彼らはその渡し守が主な役目だそうです。で、その川を越えて、晴れて正式な死人と扱われるらしいです。


仮死状態の人も、渡り切ってしまうと戻れないらしいです。三途の向こうは死者の世界であり、たとえまだ生きていても、向こう岸に足をついた途端に死者の仲間入りだそうな。


昔毒キノコを間違って食べた時に見えた川はそれだったのか……。もし渡ってたらと思うと背筋が寒くなってきました……。


「霊魂は無防備状態の人間そのもの。良くも悪くも、環境に影響されやすい。長い間人の欲の渦巻く現世にとどまれば、魂は穢れていき、一般的に悪霊といわれる存在になる。そうなればもう、自我は保てない。あの世に強制連行して魂を浄化しなければ、輪廻に戻れないわ」


「輪廻って本当にあるんですか?」


「あるわよ、死後に天国に行けるのは魂が徳を積んだ人だけ。それ以外は輪廻を通して再び生を受け、罪を犯した存在は、地獄で罰を受けた後、魂を浄化されて輪廻に戻される」


天国は生きとし生ける者の輪廻を管理する神々の住む処。地獄は極悪人を収容し、それを監視する役目を担う者たちが住む処。死神たちが住むのはその中間地点、天国や地獄への行先を決める閻魔が統治する黄泉の国だそうです。


輪廻を彷徨うのは、徳を積んで天国へ行き、神のような高次元の存在へと昇格するためだそうです。そこへ至れば生を受けたが故の疑問や悩みが全て解決されるそうで、人間の考えが遠く及ばない存在になれるそうです。


「じゃあ、死神とかってどうして存在するんですか?」


「死神は、徳を積んで死んだ人間の霊魂が、天国に行った後に言いつけられる役職。いわば人間でいう天使に近いわ。天使は存在はするけど、あれらは主に神の手伝いが仕事よ」


積んだ徳によって、天使になれるか死神になれるらしいんだけど、その基準はよく分からないらしい。神様は高次元の存在だから、そもそも考えを理解しようとするのが無理なものだそうだ。ちなみに神様は、日本の八百万やおよろずの神々みたいに何百もいるらしい。


「さて。色々脱線したけど、私たちの主な仕事内容を教えるわ。普段はここで悩みを抱えた人間が来るのを待つか、外に出て、彷徨っている霊魂を探して悩みを解決する。これが基本的な仕事よ」


「行動範囲はどれぐらいなんですか?」


「県内よ。それ以外の地域は他の死神が管理してるの。まあ、どこも人手不足なんだけどね」


聞けばこの職場、死神にとっては墓場とも言えるところらしい。爺ちゃん、世間はどこでも世知辛いようです。


あ、そういえば。


「楊さん、ここは悩みを持った人ぐらいしか来れないんですよね?」


「そうよ」


「じゃあ、なんで私はここに来れたんですか?」


ああ、そういうこと。と言うと、楊さんから衝撃の事実が明かされた。


「稀に、霊魂とかが見える人とかがいるんだけど、それは霊感によるもの。霊感が強い人っていうのは、誰もが持っている生命エネルギー、"気"や"霊力"を多く持っている人なのよ」


「気、ですか?」


「そう。霊魂は生命エネルギーによって動いているから、"気"が強い人は見えちゃうのよ」


「……あの、もしかして」


「ここに来れる人は、悩みを抱えているか、若しくはとても霊感が強い人。つまりあなたは大きな"気"を持っていて、霊感があるってことよ」


やっぱりか! 夜中によく人魂とか見えたりしたのはそのせいか!? 全部気のせいだと思ってたのに、思い返せば思い当たる節がいくつもある!


ああもう、私ホラー嫌いなのに……。


「あと、魂が穢れた人が、無意識に救いを求めてやってくることもあるわ。犯罪者とかが来る可能性もあるから気を付けてね」


ああ、私この先無事でいられるか不安になってきた……。

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