龍の子。
初めての投稿です!
龍に育てられた人の子がいた。
その子は空を飛び、地を引き裂き、火を吹き、破壊の全てを持っていた。
そして、人の言葉を理解していた。
「我の下に立つなど、身の程知らずの劣等種め」
豪炎に包まれる街。吹き飛ぶ自然。
破壊する事で、全てを手に入れた気分だった。
ただ、感情は手に入れられなかった。
「龍の誇りは力。見るものは全て私たちの獲物であり、龍の上にも下にも生物は存在してはならない。」
親からそう教わってきたその子に感情が理解できる訳もなかったのだ。
40年後。
破壊を尽くした龍の子は、勇者と呼ばれる人の子に致命症を与えられる。
命かながら、ある洞窟に逃げ込んだ龍の子は、動くことすら出来なかった。
「なんてひどい傷。どうしたの?」
そこに、1人の少女がやってくる。
「我の上に立つなど、身の程知らずの劣等種め」
地に伏せた状態から、顔を上げて龍の子は言う。
「何言ってるのよ。人に上も下もないわ。」
少女はそう言うと、龍の子の頭に手を乗せた。
「我の事が人に見えるのか?」
「何言ってるのよ、どこからどう見たって人の子じゃない。」
少し笑みを浮かべながら、少女は不思議そうなそう言った。
「この手は何だ。なぜ、我の頭の上に手を置いているのだ。」
「可哀想だから?」
少女は再度、不思議そうな声でまた言う。
その時初めて龍の子は感じた。
「これが感情。」
龍の子の目から涙が溢れる。
「なんか、よくわかんないけど。良く、頑張りました。」
龍の子の頭を撫で、少女は優しく言う。
初めて感じる感情に、龍の子は言葉を失い、沈黙の時間が続く。そして、龍の子は自分のしてきた過ちに気づく。
「俺は何てことを。」
涙が止まらなくなる。嗚咽と悲鳴にも似た叫びが混じり、自分が何者かわからなくなる。
そして、少女は俺の頭から手を退けて、
グサ!
私の心臓をナイフで抉った。
「あんたなんて人の子じゃないわ悪魔!私の父と母は貴方に殺された!感情?ふざけるな!貴方が持って良いのは罪悪感だけ!人の皮を被った化け物が!」
意識が遠のいていく。
「ああ、これが憎しみという感情なのだな。」
龍の子は人の中で最も濃厚な感情をその時初めて感じた。
「これが、人の子か。」
人間の感情で一番濃ゆいものって何でしょうか。




