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武力ゼロと追放された俺、口八丁で最強国家を作ってしまう 〜元トップコンサル白石快斗の異世界再編計画〜  作者: InnocentBlue


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第1話 追放テンプレ? いえいえ、改善余地ですね


 人生で一番どうでもいい会議の最中に、俺――白石快斗しらいしかいとは異世界へ飛ばされた。


「では本件のKPIですが――」


 そこまで言った瞬間、視界が真っ白に弾けた。


 次に目を開けたとき、俺は石畳の上に転がっていた。天井は高く、壁はやたらと装飾がゴテゴテしている。RPGで見たことのあるいかにも王城だ。


 そして目の前には、王冠をかぶった壮年の男と、鎧姿の騎士団。


 ……なるほど。テンプレか。


「異界より召喚されし勇者よ!」


 王が声を張り上げる。


 勇者。はい来た。ここでチートスキルが配布される流れだな。


 俺はゆっくり立ち上がり、スーツの皺を払った。


「御社――いえ、御国の課題整理から入りましょうか?」


 ざわり、と玉座の間が揺れる。


「なにを言っておる」


「状況確認です。魔王がいて、戦争中。人的資源不足。だから異世界から戦力調達。合ってます?」


 王の眉が跳ねる。図星らしい。


「ではステータスを測れ」


 水晶が運ばれ、俺は手を置かされる。


 光が走る。


 そして表示された文字を見て、場の空気が凍った。


 ――戦闘適性:E

 ――魔力量:E

 ――固有スキル:なし


 完璧だ。


 騎士の一人が鼻で笑う。


「……無能か」


「おいおい、せめて伸びしろ枠って言いません?」


 俺は肩をすくめた。


 王は露骨に失望した顔をする。


「使えぬ。戦えぬ者に価値はない。非戦闘民は不要だ。城外へ追放せよ」


 早い。判断が早い。


 兵に両腕を掴まれ、俺はそのまま城門の外へ放り出された。


 重い扉が閉まる。



 ――さて。


 俺は一人、荒野に立つ。


 剣もない。魔法もない。チートもない。


 普通なら、ここで絶望するのだろう。


 だが俺は、ネクタイを緩めながら笑った。


「戦えないから不要? いやいや、それは評価軸が単一すぎるでしょ」


 背後で、城壁の向こうから爆音が響いた。


 振り返ると、黒煙が上がっている。どうやら魔物の群れに襲われているらしい。


 早いな。タイミング最悪だ。


 城門の上で慌てる騎士たちの姿が見える。


 陣形が乱れている。弓兵が前に出すぎだ。補給が間に合っていない。


 ……三分だな。


 俺は城壁を見上げ、大声で叫んだ。


「左翼、崩れますよ! あと百二十秒!」


「黙れ無能!」


 怒号が飛ぶ。


 だが。


 次の瞬間、左翼の盾兵が押し切られ、城門前が崩れた。


 悲鳴。


 混乱。


 俺はため息をついた。


「ほら言った」


 城門が軋み、魔物がなだれ込もうとする。


 このままでは街が落ちる。


 俺は再び叫んだ。


「弓兵を三歩下げて高所集中! 重装は門の内側に引いて二重扉化! あと油ある? あるなら投資案件だ!」


「な、なぜ分かる!?」


 上から叫び返す声。


「現状分析です。御社、いえ御国。防衛設計が甘い。今なら改善間に合いますよ!」


 半信半疑ながらも、騎士たちは動いた。


 指示通りに隊列が組み直される。


 弓が一斉に放たれ、油に火が走る。


 門前の魔物が炎に包まれ、勢いが止まった。


 ざわめきが広がる。


 城壁の上から、さきほど俺を見下していた騎士が、信じられないものを見る目でこちらを見ていた。


「……貴様、なに者だ」


 俺は軽く一礼する。


白石快斗しらいしかいと。非戦闘民です。ただし――戦況改善のコンサルは得意分野でして」


 門がゆっくりと開く。


 さきほどの王とは別の人物――銀髪の女騎士が姿を現した。鋭い眼差し。だがその奥に、理性がある。


「あなたが指示を?」


「いえいえ、提案です。採用したのはそちらの判断。優秀ですね」


 彼女の口元が、わずかに動いた。


「……追放されたのでは?」


「はい、即日解雇です。なので今はフリーランス。顧問契約、いかがです?」


 騎士たちがざわめく。


 女騎士はじっと俺を見つめた。


「あなたは戦えない」


「ええ。前線は任せます。その代わり、勝てる構造は俺が作る」


 炎の向こうで、まだ魔物が唸っている。


 俺は笑う。


「安心してください。この世界、伸びしろしかないんで」


 こうして――


 武力ゼロ、魔力ゼロ、固有スキルなし。


 代わりに持っていたのは、口八丁と構造把握。


 これは、追放された元トップコンサルが、最強国家を作るまでの、最初の改善提案である。

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