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エルジュの試み


「もうすぐゴブリンの巣穴に入る。心の準備はいいか?」


 ナルケルの後を付いてきたエルジュは「はい」と気合をいれる。


「よし、キングを見つけたらエルジュの出番になる。そろそろ何をするのか手順を教えてくれ。もしもの時に備える必要があるからな」



 エルジュは快諾し、頷く。



「まず、オレは傍で陣を展開する。そこに「お遊びナイフ」を全部入れてください」

「全部入れちまったら武器はどうするんだ?」


 事前に準備してもらった初歩武器だ。

 それでは手元になにも残らないとの指摘を受けるがエルジュはお構いなし。


「大丈夫! そのまま陣の上にナルケルさんが触れてくれれば陣は消えます」

「お、おう」

「つまり効能がナルケルさんの武器装備にエンチャントされるってわけです!」


 すでに投入物が合成されることは承知しているから。


「なに!? 10本分だと攻撃力は100だぞ。俺の「戦士の斧」でも60なのに」

「付与魔法陣です。しかも暴走する確率も含まれている。通常のクリティカルとは違いますよ。魔法の暴走がこの世でもっとも火力が増幅することはとっくにご存じでしょう!」


 ナルケルは顔を紅潮させる。


「ま、ま、ま、まさか!? まじかよ!?」


 エルジュはにんまりと笑み、ナルケルを見つめる。


「おし、俺のレベルなら通常でも一撃で、200以上削れる! 試してやろうじゃねえか!」


 ゴブリンキングと対峙したナルケルはまずタックルをかまし、スタンさせた。

 これですでに150ダメージを与えられた。

 そこにすかさず渾身の斧を振り下ろした。


 ガガガガガシュっ! とエグい手応えを全身で感じた。

 ナルケルの一撃にゴブリンキングの意識はもうろうとして地に膝を突かせた。

 チャンスとばかりにダルケルが連続で斬りつけた。


 暴走が最高値を引き当てたようで火力が300オーバー加算された。


「うおおおおおぉぉ!!!」


 ゴブリンキングはあっさりと息絶えた。

 ナルケルは討伐経験はあったので敵が絶命したのは肌で感じていた。


 ゴブリンキング討伐経験値を入手したエルジュは、一気にレベル10になった。


「わああ! レベルが上がったよ!」





 レベル10 エルジュのスキルが新たに解放された。


 ──【空想種(ソラシド)】が進化しました。スキル「習得」が上乗せされました──


 「習得」薬草回復500p魔法陣、常時展開可能。

     緑眼の加護BONUS 暴走回復7倍固定

 「習得」よあそびナイフ攻撃力+100付与魔法陣、常時展開可能。

     緑眼の加護BONUS 暴走火力+2.5倍/確率50%


 同系統の重複は1度まで。「習得」にはレベル10必要

 上記2種の効能を得る際は投入物が不要になる。




「──っていうのを覚えたみたい!」

「てことは、ナイフを新たに10本使用しなくてもいいってことだよな?」

「そうみたいです!」

「エルジュ、その「重複」ってのは分かってんのか?」

「ええ。薬草なら別の回復薬を使わなきゃ、新しい魔法の習得に至らないという意味だと知っています」


 エルジュはスキル進化の知識はある程度持っていると伝えた。


「なるほど。薬草のワンランク上がポーションAだ。1個で150回復できる」

「手持ちにありますか? あと10上げるにはキング3匹で行けそうです!」


 今度はナルケルの顔がほころんだ。

 二人はにんまりとして──目を合わせると。


「とことんやるか!」

「ええ、回復と火力の付与をしまくりますよ!」


 エルジュが魔法陣を発現させる分には何の消費もいらないようだ。

 アイテムを放り込むと増幅した効果が得られるのだ。

 そんな楽しいことなど二人の人生にはこれまでどこにもなかったかのように心を踊らせる。

 戦いながら、さらにエルジュがポツリと付け加える。


「これが、リッチなどのアンデッド系だったら更に火力が乗りますよ!」

「いいねぇ、なるほどな!」


 ナルケルもエルジュのその言葉の意味を理解している。

 アンデッドに回復ポーションが有効なのは言うまでもないことだから。


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