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引き運が強すぎる友達

作者: あおい

僕の転校先で新しく出来た友達の「あまね」さん。登校初日質問攻めに会って上手く答えられず、皆から距離を置かれるようになってしまった。分からないことがあれば教えてくれるけど放課後遊んだり一緒にお昼を食べたりできるような友人はいなかった。そんな僕に声をかけてくれたのが学級委員の彼女だ。しっかり者でクラスのみんなからも、先生からも頼りにされている。一人でいる僕を見かけて「案内しようか?」と声をかけてくれた。そこで話をしたのをきっかけに一緒にいるようになり、彼女と仲が良いグループの子とも話をするようになった。もし、声をかけてもらえていなかったらきっと今でも誰とも仲良くなれず一人でいただろう。彼女には本当に感謝している。


あまねさんは真面目で責任感がある。クラスで何かの長を決める時必ず自分から立候補する。それだけでなく、グループ発表や雑用なんでも引き受けてくれる。前の学校では誰もやりたがらず、くじ引きやじゃんけんで決めていたこともこの学校に来てからはやったことが無い。正直、くじで決めて僕なんかがなっても長なんて出来ないからあまねさんがやってくれるのはありがたい。ただ、そんなに頑張っていて大変では無いのだろうかと心配にもなる。僕に手伝えることなんてなさそうだけど……。

ある日、クラスメイトに「委員長とか生徒会とか色々やっていてすごいね。そういうの好きなの?」と聞かれたあまねさんは笑顔で、でもはっきりと「好きじゃないよ」と笑っていた。その日の帰り道好きじゃないのになんで頑張れるのと聞いたら「どの道私がやるしね〜」と軽く言った。よく分からなくてぽかんとしてしまう。

「私くじ運がすごくいいみたいなの。福引とか抽選とかだいたい当たるんだよね」

それは羨ましい限りだ。僕なんて当たったこともないし、当たった人を見たこともない。

「いい事ばかりじゃなくてさ、みんながやりたがらないこともくじ引きするとだいたいなっちゃうんだよね。まとめ役とか発表者とか。くじ引きで決める時は必ずなっちゃって、私以外の人がなるの見たことないの。運に任せて嫌々やるくらいなら自分からやるって決めたいじゃん」

「でしょう?」と僕の方を見るが体験が無さすぎて良くわからない。「なるほど?」と曖昧な返事をするとあまねさんは「うーん」と顎に手を当てて首を傾げる。

「神様とか運命とか、自分じゃどうにもならないものに決められて、仕方ないかと思うより、上手くできるか分からなくても自分でやるって決めたことをやりたいんだ」

「神様になんて決めさせないよ」

ニコッと笑う彼女はとても眩しくてかっこよかった。

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