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続きです。
この世界に来て、リタと出会って、そして・・・・・・フォスタたちと家族になって・・・・・・。
そうして、数日が経った。
ここでの生活にもすっかり慣れ、今までは関係の薄かったご近所さんとも信頼関係を築くに至る。
何せ問題は山積みだから、手助けすべきことは色々ある。
つまり親交を深めるタイミングはいくらでもあるわけだ。
トカゲの魔物の襲来以降、目立った問題は起きていない。
そのバランスは絶妙かもしれないけど、平和だ。
今日もリタの手を借りつつ、いくつかの仕事をこなした。
今はその後、夕焼けが染み込む街を眺めながら一人で家に向かっていた。
俺と同じように、街の人々もそれぞれの家に向かっている。
ある者は急いで、ある者はのんびりと談笑しながら。
一日の終わりかけ。
しかしこうして賑わっているのだった。
リタは、魔法の本を開いて自室で居眠りしていた。
ケイドは、いたずらがバレて宿屋のおばさんに叱られていた。
リサは、ジュードに誘われて不慣れな手つきでこの夕日を描いていた。
フォスタは、既に夕食の準備を終えウルルとフルルの三人で、マナトの帰りを待っていた。
少し普通からは外れた街の、普通の日常。
幾度となく繰り返されて来た夕方。
その穏やかな時間を・・・・・・。
どろどろと、ねばつくような漆黒が切り裂いた。
続きます。