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続きです。
長い食事の時間が終わった後、草のカーペットに胡座をかいて穏やかな午後を過ごしていた。
リサに関してはもう寝転がっている。
炎ももう灯っておらず、今は本当にもうただただ休憩の時間だ。
俺も俺で疲れたので、リサを真似て横になる。
するとリタは自分だけ座っているのにバランスの悪さを感じたのか、同じように体を横たえた。
「それにしても・・・・・・鳥木族がここに出たのって、たぶん汚染のせいですよね・・・・・・」
リタが呟く。
鳥木族。
樹木と鳥が掛け合わされたような不思議な生物で、そして高級食材。
そいつは本来こういう場所に棲んでいる生物ではない、らしい。
「そうだな・・・・・・。森もだいぶ減ってきてるようだし、この数日以内で確実に大きく汚染が広がったな・・・・・・」
リサの言葉に内心ドキリとする。
汚染に大きく影響を及ぼすような魔法、それが行われたことを俺とリタは知っているのだ。
俺の召喚は、確実にこの世界に爪痕を残していた。
「・・・・・・仕方ないですよ」
リタが首を横に振る。
「こればかりは、どうしようもありません・・・・・・。あの天空の城然り、誰かが悪い、あるいは誰もが悪いのかもしれませんけど・・・・・・少なくとも、今のままではこの汚染に歯止めは効かないですよ・・・・・・」
リタの表情は悔しそうで・・・・・・この現状を本当は仕方ないという言葉で片付けたくないのは明らかだった。
この世界に誤魔化しきれない被害を与えて、やって来たのが俺・・・・・・。
だが、その俺は野生動物を倒すので一苦労だ。
空を見上げれば見える城。
あんなもの、俺に落とせるわけがない。
というかはなからそうするつもりもない。
けれど、真剣にこの世界のことを思うリタを見ると、申し訳ない気持ちは自然と湧き出し俺の腹に塊となって沈み込む。
帰りたくない、なんならこの世界と命運を共にするつもりでさえあるが、この気持ちはもしかしたらこれからもずっと付き纏うかもしれなかった。
続きます。