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『ハッピーエンド』タグ、付けてもいいですか?

作者: 利己的な作者


小説家になろう様で、物語を投稿させて頂いてから早7ヶ月。

連載ものを何とか三作完結させ、現在四作目の執筆中である私が、今一番悩んでいること。


それは『ハッピーエンド』のタグ付けと、あらすじに幸せになりますといった言葉を書いて良いのかということだ。



私は書き専で、他の作者様の作品は基本エッセイしか読まない。

良くも悪くも、他の作品に影響されて筆を折ってしまいそうだからだ。


だが、ランキング上位の作品は、一話目と最終話、そして感想欄によく目を通す。

理由は、『読者様が求めているもの』を把握する為。


やはりこうしてネット小説を書く以上は、一人でも多くの方の心に刺さるものを書きたいと考えたからだ。



そして、感想欄を沢山読んで気付いたのは、読者様が求めているのは『爽快なハッピーエンド』ではないかということである。


例えばよく見かけるのが、気持ちの良いざまぁでした!という感想。

そして、ヒロインやヒーローが読者様に支持され愛されいるのが伝わる熱烈な感想である。


私はそれを読み、率直に羨ましいと思った。

何故なら、それらの作品は多くの読者様を幸せな気持ちにすることが出来ているのだから。




そこで私は自分なりに、『爽快なハッピーエンド』を生み出す為の必須条件を考えてみた。


① 勧善懲悪


② ヒロイン&ヒーロー至上主義


③ 脇役はあくまでも脇役


大きく言えば、この三点ではないかと。



まず、①の勧善懲悪。

気持ちの良いざまぁが成り立つ為には、勧善懲悪が前提だ。

その為には、完全なる悪者が必要。ヒロインやヒーローを理不尽な理由で婚約破棄したり、苛めたり、追放するけしからん悪者。

この悪者には、作者が決して情を寄せてはならない。最後にはやられた以上の仕返し、すなわち倍返しをしなければならないのだから。

ここで少しでも情を寄せると、ざまぁが生ぬるいと読者様がもやもやしてしまう。


次に、②のヒロイン&ヒーロー至上主義。

①の勧善懲悪を書くなら、ヒロインとヒーローは読者様に絶対に好かれなければならない。

少しでも嫌われようものなら、婚約破棄されても仕方ないだの、追放されて当然だの思われ、①の勧善懲悪が成り立たなくなってしまう。

(ランキング上位作品の作者様は、このキャラクターづくりが非常にお上手だと思う)


最後に、③の脇役はあくまでも脇役。

魅力的なヒロインやヒーローを、決して邪魔してはならない。

例えば恋愛の三角関係を描くなら、脇役は噛ませ犬程度の役割でさっさと退場させる。ここで間違えてヒロインやヒーローを食ってしまおうものなら、読者様は大きなストレスを抱えることになる。




さて、こう分析した所で、早速自分の作品を振り返ってみよう。


① 勧善懲悪ではない。

何故なら、真の悪人が居ないから。

まあ、一応居るには居る。

一作目の黒魔術でヒロインの命を奪おうとした皇妃とか、二作目のヒロインを苛めた令嬢とか。

でも彼女達には、悪役にならざるを得なかった理由がある。(というかその理由を書いてしまった)

これでは勧善懲悪は成り立たない。


迷ったのは三作目。これには救いようのない悪人を二人登場させた。どちらも娘を虐待した父親であり、彼らには容赦なく制裁を与えることが出来た。

問題は、ヒロインをヒーローから奪い結婚をする、ランドルフという男性。この男性の立ち位置で非常に悩んだ。


悩みすぎて妹にも相談し、最初はこの男性を悪に振り切り、初めてのざまぁもどきに挑戦する方向でいた。

だが、どうしても出来ない。

この男性の生い立ちを考えた時に、根っからの悪人の訳がない!愛に触れることで改心するはず!

そう考えてしまったからだ。

気付けば作者は彼を愛し、悪役どころか、準ヒーローの立ち位置にまで昇格させてしまった。


……はい。

『悪者には、作者が決して情を寄せてはならない』

この掟を見事に破ってしまったのだ。



② ヒロイン&ヒーロー至上主義ではない。

何故なら、私の書く主人公達には何かしらの欠点があるから。

一見スパダリと思いきやヒロインに依存していたり、健気なヒロインかと思いきや強かな部分があったり。

優しいけど弱かったり、頭は良いけど自己中だったり。


だって、人間だもの。

良い面も悪い面もあるよね?


……はい。

『ヒロインとヒーローは読者様に絶対に好かれなければならない』

こんな欠点だらけのキャラクターでは無理でしょう。



③ 脇役が脇役に徹していない。

①と②でお察しだと思うが、私はすぐにキャラクターに情を寄せてしまう。

例え脇役でも、文中には書かない裏設定なるものが必ず存在する。そこまで考えないと、物語を上手く構成出来ないからだ。

気付けば彼らは、脇役のくせに必要以上に主人公達に絡んでくる。


……はい。

『ヒロイン&ヒーローを、決して邪魔してはならない』

邪魔しまくりです。三角関係なんて、噛ませ犬どころか、作者も驚く程しつこすぎてなかなか退場してくれません。



これらのことから、私の作品で読者様に『爽快なハッピーエンド』を感じて頂くことなど到底無理なのだ。


きっと多くの方が、これはハッピーエンドだったのか?詐欺じゃないか?(特に一作目と三作目)と、疑問を持たれることだろう。

いつか読者様がイライラしてスマホを投げ捨てるのでは?と、密かに怯えている。



では、何故私がこの様な『爽快なハッピーエンド』とは程遠い物語を書いてしまうのか。


それは非常に単純で、自分自身が『後味の悪いハッピーエンド』を好んでいたからだと気が付いた。


好きな小説、漫画、ドラマ、映画……

思い返せば、どれも『後味の悪いハッピーエンド』ばかりである。

誰かが死んだり、後悔したり、感情をぶつけ合ったり。


考察出来る余白があるもの、また余韻が残る作品が好きなのだ。

一言で言えば、頭の中で二次小説を創作したくなる様な、そんな隙のある作品だろうか。


ヒロインがこっちの男性とくっついていたらどうなっていた?とか、別の選択をしていたらどんな結末だったかな?とか。



それと比較すると、ランキングの上位作品は隙がない。

よくテンプレなどとも言われている様だが、私はそれは作者様の非常に高度なテクニックだと思っている。

数ある婚約破棄や悪女ものの中でも、一際光る個性や魅力を打ち出し、上位に上り詰めたほんの一握りの作品なのだから。


私も何度かテンプレなるもので物語を作ろうと試みたことがある。

でも逆に難し過ぎて、何も思い浮かばなかった……


結局、私が好むこの『後味の悪いハッピーエンド』は、小説家になろう様では求められていない、流行りではないという結論に至った。




では、今後どうするのか?

自分が好む物を書くか、読者様のニーズに合わせるか……

これには恐らく、多くの作者様が葛藤されているだろう。


後味の悪い自分の作品に、ブックマークや評価を下さった方がいらっしゃるということは、少なからず同じ好みの方もいらっしゃるのではないかと考えてしまうし。

(毎回いいねに支えられて書ききっていると言っても過言ではない)



何も分からず夢中で書いた問題ありの一作目。

一作目の続編として、ストレスフリーで書けた二作目。

本当に書きたいものを素直に出しきった三作目。


そして……現在執筆中の四作目。

ほのぼの爽やかちょっと切ない系の異世界恋愛。

でも、その裏に書きたいのは……『個性』がある人の葛藤だったり、人生やり直しても思い通りにいかないという哀れだったり。


……いやいや、ちょっと待て!

そんなもの要らない!スカッと気持ち良くハッピーエンドにしろ!

ハッピーエンドタグ付けてるよね?あらすじにも幸せになるって書いたよね?

頼むぜ~おい。


三作目の時と同じく、もう一人の私が警鐘を鳴らす。

結局無視して、また書きたいものを書いてしまうのではないだろうか。



まあ欲を言えば、ざまぁなし、流行ワードなしのランキングを作って欲しい。

そこからは一体どんな物語が、どんなハッピーエンドの作品が生まれるのか見てみたいから。




最後に、ソファーでゴロゴロしている娘(小学生)に聞いてみた。


「ねえ、鬼◯の刃ってハッピーエンドだと思う?」

「ハッピーエンドって何?」


……そこからかい!

母、説明する。すると、


「もちろんハッピーエンドだよ!鬼倒したし」

「鬼倒すとハッピーエンドなの?」

「うん、だって鬼を倒して妹を助けるのが目的だもん」

「でもさ、その為に沢山の柱が死んじゃったじゃん?柱から見たらこの結末はハッピーエンドなのかな?」

「脇役だからいいの!」


「でもさ(食い下がる母)、あんたは◯治郎が大好きじゃん?もし、◯獄さん推しだったら?」

「そしたら死んじゃった時点でもう続き読まなくなるかもね!きゃはっ」


参考になった様な、ならなかった様な……?

でも、物語の目的。揺るぎない着地点とでも言うのだろうか。これは今後の執筆の鍵となりそうだ。


私と同じく『後味の悪いハッピーエンド』がお好きな方、逆に『爽快なハッピーエンド』がお好きな方。

どちらもお気軽に、ご感想を頂けると嬉しいです。

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[良い点] 物語だから、と言われたら仕方ないけど主人公至上主義は必須では無いと思うし、万人に愛される主人公なんていない。作者にとってハッピーエンドならタグつけて大丈夫だと思う。 前に顔も頭も家柄も良…
[一言] 分かる〜というところが多くて、頷きながら読んでしまいました。 恋愛ものは一途が好きで、葛藤したり事件が起きたりくらいで、脇役も良い人ばかりがいいのですけど(笑)だって恋をするってだけで大変な…
[一言] ① 勧善懲悪 →近年では、勧善懲悪でないほうが、作品に深みがあると評されます。 ② ヒロイン&ヒーロー至上主義 →欠点が、キャラを魅力的にするという理論は、キャラ制作ハウトゥ本ではセオリ…
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