表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/16

プロローグ.朝が嫌いだ

 わたしは朝が嫌いだ。


 目を覚ましてから体を起こすまで、相当な時間と意志力を必要とする。

 そのために職場へ行くのが遅れ、遅刻しそうになった経験が何度かある。

 それでまあまあわたしの仕事ぶりを認めてくれる上司からも「さすがにそれはちょっとダメだよ」と注意を受けたことがある。


 そこでわたしは生活を根本から変えることにした。

 電車通勤を辞め、職場の近くに引っ越しをした。

 職場まで、歩いて十分。電車で四十分近くかけて通っていたころに比べると、朝が断然、楽になった。

 それでまあ仕事の方も、上司との関係も問題なくなったのだけれど、今度は別な問題が浮上した。


 新居を選ぶにあたって、わたしは二つのことを優先した。


 一つはもちろん住みやすさである。

 新居は近くにそれなりに栄えている街があった。そのくせに周辺は静かで、住環境も悪くない。


 もう一つは職場への通勤時間の短さである。

 なるべくなら徒歩圏内がいい。その点で新居は理想的だった。

 職場まで徒歩十分。ちょっと駅は離れているけれど、まあ、そう遠くもない。


 新居の下見で不動産会社の車に乗せられ、その物件を確認したわたしは、すぐに気に入った。

 そしてスマートフォンのアプリで、職場までの徒歩の道のりを検索した。ほとんど無駄なく、距離のロスもなく職場へ向かう道だった。

 これはいい、と思い、口では言わなかったものの、その物件に引っ越しをすることを、わたしはほとんど即決していた。


 というわけでわたしは、実際に職場までの道のりを歩かなかった。

 これが間違いのもとだった。


 やっぱり、何でも一度は試してみるものだ。

 不精なためにわたしはそれを怠り、朝が苦手なように、もう一つの苦手なものと直面する羽目になった。


 そう、何が問題か、といえば。

 職場までの道のりには、気味の悪いトンネルを通る必要があったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ