現世で魔王みつけちゃいました?
ハンバーガー屋に連れていこうと思い、俺達は教室を出た。
がやがや…
「ん?なんか騒がしくないか?」
「ほんとだね、2階かな?行ってみる?」
「ああ、行ってみようぜ!」
俺達は2階に降りた。そこには……
「妾は魔王であるぞ、何故好きな服を着てはいけんのだ、人間」
魔王?俺が見た魔王はもっと禍々しく、いかにも魔王って感じだったのだが…。
目の前の自称魔王は銀髪のロングツインテール、黒くてフリフリのゴスロリ、黒の眼帯といういかにも黒魔法を使いそうなかわいい女子だった。
「成世先輩!……と謎の女子」
「凛!状況を説明してくれ、どういうことだ」
「はい!状況を説明致します。魔王と名乗る謎の女子が制服を着ていないことで先生に怒られている模様。魔法陣の形跡はなし、強い魔力も感じられません。周りの人も外傷はありません」
「わかった、ありがとう」
「ナルセ様、どうされますか?」
「そうだな、ここは俺が引き受ける。まさかあの時一緒に転生していたとは…」
「了解しました」
「え、ちょ、成世くん?あの子ってこの学校ですごく有名な……」
「悪い、白石。俺止めてくる」
「え、ちょっと……」
「ここはナルセ様に任せて、貴方は逃げてください」
「いや、話を……」
俺が止めに入らなければ、ここにいる人は皆死んでしまうかもしれない。魔力を感じられない特殊な魔法を使っている可能性もある。
気を引き締めなければ。
「おい、魔王」
「なんじゃ、そなたは」
「来い」
「ふっ…無礼じゃな」
「いいから、来い」
「はぁ……まあよい、この人間の戯言を聞かなくて良くなるのなら妾はいこうではないか」
俺は校舎の裏まで魔王を連れていった。
「おい、お前は魔王なのか」
「無礼な質問じゃな、妾は魔王だ。しかし魔力を失っておる。そこらの人間と何らかわらん」
「やはりお前もあの時転生していたのか」
「そなたもか。幾星霜の時を経て、この地にたどり着いたのじゃ」
「幾星霜?!そんなに時間が経っていたのか?!」
「ああ、そうじゃとも。お前は何者なのだ?」
「俺は勇者。勇者ナルセだ。とは言っても、普通の人間と何も変わらないが…な」
「そなたも力を失っておるのか。魔王と勇者とはいえど力がないもの同士、元の世界に戻るため今は一時休戦といこうではないか」
「わかった」
タタタタタッガチャッ
扉が空いた?!
「成世くん!いた!その子のこと成世くん知らないの?!」
「知ってるも何も、前世から…というかなんで来てるんだよ…おいリン!近づかせるなと言ったはずだろ!」
「ナルセ様あああああ、その子魔王じゃありません!!」
「は?」
俺は頭が真っ白になった。