勇者たるもの非は認める
ガララララッ
「なるー!おっはよー!元気ねーなー!朝だぜ?元気だそーぜ!」
この元気なやつは平川 蓮。同じクラスで席も近く、息も合う。親友ってやつだ。
「蓮…おはよう。ちょっと色々あってな…」
「色々っていえばさ、お前が朝話してた女子誰だよ?」
え…見られてたのか…?
「何があったのか詳しく話せよ!」
昨日白石を助けて仲良くなって、今日途中まで一緒に登校したこと、途中で(勇者時代の)仲がよかったリンに会って話したこと、その間に何故か白石が怒って1人で学校に行ってしまったこと。全てを蓮に話した。
「うひゃー、そんなことがあったのかよ。なるも大変だなー(笑)」
「ああ…朝から疲れた」
「うむ、でもまあ、羨ましい限りだ。噂によるとその後輩もなかなか可愛かったらしいじゃないか。妹もかわいい、後輩もかわいい、クラスの可愛い子選手権でも堂々の1位を獲得した白石…3人と仲がいいとは…いや、羨ましい限りだ。それにな、なる………………」
蓮の話は授業が始まるまで続いた。
あいつ、女子の話になると目の色変わるんだよな。まあ確かに女子の話は楽しいけど…あいつは異常だよな。普通にしとけばかっこいいのに、残念度が上がる。増し増しだ。
キーンコーンカーンコーン……
ふぅ、授業も終わった。ようやく放課後か。
あれから白石とは話していない。
一応、謝った方がいい……のか?
白石が足早に帰ろうとしていた。
「っ白石!」
やべっ、慌てすぎて声裏返った!かっこ悪…。
「……」
沈黙が痛い。
「あの…その…朝の事なんだけど……」
うん、いくら凛から声をかけられたとはいえ、待たせた挙句1人で登校させてしまったのだ。謝らなくては。
「まじ、ごめ……」
「ごめんなさい!!!」
俺の声はかき消された。
「後輩さんと楽しそうに話してるのが…辛くて…先に1人で行っちゃったの…本当にごめんなさい。」
「いやっ、全然いいよ。俺の方こそごめん。待たせた挙句1人で登校させちゃって…一緒に行くって言ってたのに」
「ううん、ほんとごめんね。」
「…………」
また流れる沈黙。
白石の顔は罪悪感でいっぱいだった。
「今日、このあと予定ある?」
「え…確かなかったと思う…」
「ならさ、どっか寄っていかない?昨日は白石のおすすめの店だったから今日は俺のおすすめの店。どう?」
「え、いいの?!」
「もちろん、今日のお詫びも兼ねて…」
「うん!いく!ありがとう!」
白石はまた笑顔に戻った。
うん、かわいい。