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ここ、どこですか?
「はぁっ……はぁっ……倒した……のか?」
「やりましたよ! ナルセ様! 魔王を倒しました!」
「流石勇者ナルセ様!」
「はぁっ……やっと倒したんだな」
「ナルセ様、宝箱があります! 開けてみましょう!」
「ああ、わかった、開けるぞ」
キィィィィィ……
「うわっ、なんだ、眩しい!」
「ナルセ様ああああああああぁぁぁ」
俺は謎の光に包まれ、意識を失った。
ここまで勇者として日々精進してきたというのに……終わりは呆気なく来るのだな……。
ピピピ、ピピピ……
「……ん、……ちゃん!」
誰かいるのか?俺はまだ死んでいないのか?
「……ちゃん! お兄ちゃん! 起きて! 学校遅刻しちゃうよ!」
「……んぅ……お前、誰だ?」
「はぁ〜? 妹のこと忘れたの? ありえない! ろんがい! 信じられないんだけど! 」
「妹? 俺にはそんなものいないはずだが……?」
「寝ぼけてんの? 私先学校行くからね! お兄ちゃんも遅刻しないようにね! バカ兄ちゃん!」
バタンッ
俺の名は勇者ナルセ。囚われた姫を救うため魔王に挑む英雄だ。そして俺は魔王を倒し、宝箱を開けたら光に包まれて死んだはず……。