オルガの正体1
裏庭がガヤガヤと騒がしくなってきた。城から応援が着いたらしい。
「あの、そろそろ降ろして欲しいんだけど?」リンの顔がじわじわ赤くなる。
「いや、まだお前、腰が抜けてるでしょ?あとさ、床にまだ蜘蛛がいるかもしれないし、それにさっき蜘蛛踏んじゃったから床も汚れてるし」
なんだかんだ理由をつけて、降ろそうとしないアルの腕にますます力が入る。
可愛い。このまま抱っこしていたい。
「ちょ!」
むうっと眉間にシワを寄せると、リンは「ていっ!」っと、アルの額にチョップした。
「腰なんて抜けてないし、こう見えても私はこの店の女主人よ。この店を綺麗に保つのは私の仕事だし、薬屋の床に虫の体液やら死骸なんて冗談じゃないわ。掃除するから降ろして」
「え~、ここは怖かった~とか甘えて頼るところじゃないの?」
名残惜しそうに、リンをそっと床に降ろすとアルはわざとらしく額をさすった。
「そういうことを言うと勘違いする女の子だって居るんだから、気を付けた方がいいわよ」
リンはツンと顔をそらした。しかしその耳が赤くなっている。可愛すぎる。なにそれ焼きもち?アルがリンを引き寄せようとしたところで、邪魔するように
「そろそろ、話しかけても良いかの?」
オルガが棚の上で大あくびしながら聞いた。
「たしか?オルガ様だっけ?」リンの小声の問いにアルが首肯する。なぜか不機嫌そうだ。
「先ず最初に言っておく。わしはリンの保護者じゃからな」
そう言って軽やかに棚から飛び降りるとアルとリンの間に割り込んだ。アルを離すようにグイグイと頭で押す。アルが絶対零度の目でオルガを見る。
「あの、ネコではないんですよね?」
「うむ。これは世を忍ぶ仮の姿。本来のわしはって、コラっ!」
アルを押しやりながら話していたオルガはついにアルに首の後をつままれてぶら下げられた。
アルはリンの隣にピタリとくっつくとニッコリしながらオルガに「続けて下さい」と言った。
感想があったら頑張れる気がするので是非ください(>_<)