622列車 いがみ合い
2062年4月7日・金曜日(第31日目)天候:曇り 東日本旅客鉄道上越新幹線新潟駅。
在来線ホームと並立する新幹線のホームからは14時13分発の「とき424号」が東京に向けて出発していったところだった。止まっている新幹線は北陸新幹線仕様のE16系。最長往復切符に絡む一連の旅行を開始して以来、E16系がそれぞれの持ち場を走らないのはよく見慣れた光景になったせいか物珍しさも感じなくなってきた。
「とき424号」は長岡に停車後、大宮までノンストップで走る。僕たちが降りたいと思っている燕三条には停車しないため、次の14時19分発の「とき426号」に乗らなければならない。
新潟14時19分→「とき426号」→燕三条14時31分
僕たちは4両連結されている自由席に収まった。新潟→燕三条間の自由席特急料金は860円だ。
10分ほどで「まもなく燕三条です」とのアナウンスが流れ、下車する。
最長往復切符往路燕三条駅で途中下車
燕三条駅というのは三条市と燕市でもめにもめた駅だと聞いている。その片鱗とも言うべきか、燕三条駅は三条市と燕市のちょうど境界に位置しており、燕三条というにもかかわらず燕市の住所にはなっていないのだ。三条市と燕市は昔から確執があったと書いてあるが、僕ら全く関係の無い土地の人間にとって、それはどうでも良いことだ。
関西の人が関東と同じは嫌だとか言ってるのと何ら変わらない。そんなに同じとか、駅の場所って言うのは重要なのか・・・。
「ナガシィ、ちょっと食器でも見に行きたいんだけど、良いかな。」
「食器・・・。食器なんか見てどうするの。買えないでしょ。」
「買えなくても良いの。ねぇ、付いてきて。」
「・・・。」
萌がそう言うので、付いていくことにしよう。
燕市というのは金属食器で有名らしい。金属食器の国内シェア90%というのだから、日本で販売されているほとんどの金属食器がここ燕市で生産されていることになる。だから、燕市は「職人の街」と呼ばれているのだそうだ。
地場産業館に足を踏み入れてみたが、そこには大量の金属食器が出迎えてくれた。
「おお・・・。」
とは言ったが、食器の隣に置いてある解説みたいな文章は全部英語で書かれている。なんて書いてあるのか全然分からない。こういうのくらい日本語で書いてあっても良いんじゃ無いかな・・・。
「いつかこう言うので料理とかしてみたいなぁ・・・。亜美ちゃんの家とかこういうの使ってるかな。」
「食器変えたくらいで何も変わらないでしょ。」
「・・・和食は目で食べるって言うでしょ。」
「や・・・辞めろ。揺らすな・・・。」
「まぁ、ほぼどんな料理出してもおいしいって言ってくれるナガシィには食器が変わったところで何も変わらないんでしょうけど・・・。使うものが変わったら、感覚みたいな所も、味も変わるのよ。」
「感覚が変わったんじゃ、腕は上がってないのと・・・ご・・・ごめん。だから、そんな顔しないで。」
「・・・むぅ・・・。」
「・・・あんまり怒るな・・・。」
「勝手に怒らせといて何言ってるの。」
どうも、今は冷たい雨が降っているらしい・・・。
燕三条15時45分→「とき430号」→長岡15時55分
最長往復切符往路長岡駅で途中下車
長岡駅で途中下車をしたら、僕たちはみどりの窓口に行った。
「すいません、長岡からの乗車券で、只見線、磐越西線、信越本線経由の長岡行きの切符を買いたいのですが・・・。」




