619列車 フォッサマグナ
2062年4月6日・木曜日(第30日目)天候:晴れ時々曇り 西日本旅客鉄道北陸新幹線糸魚川駅。
僕たちは、糸魚川にほど近いところにあるフォッサマグナミュージアムという所に来た。フォッサマグナとは断層のことで合ってたかな。日本には静岡から糸魚川を綱抜いて、フォッサマグナが存在している。それを見ることの出来るところが、このミュージアムだと言うことだ。
「フォッサマグナって言っちゃえば地層なのよねぇ。」
「言っちゃえばな・・・。」
僕たちはそう言いながら、展示物に目をやった。ちょうど真ん中ぐらいに斜めに線が入っていて、そのうえは左側と右側で地面の高さが違っている。地震の時にこういうのを見たことがあるが、全て写真だけだ。こういう風に実物を見るのは初めてだ。
「地面がズレるってすごいもんだよなぁ。」
「地球の中にはこれだけの力があるって事でしょ。すごいよねぇ。」
「昔の番組だけど、「母なる地球」じゃなくて、「荒ぶる父」って言ってたのがあったなぁ。こういうの見たら、「荒ぶる父」は間違ってないな。」
「今はその「荒ぶる父」も死語に近いけどねぇ・・・。」
「・・・。」
それだけ嫁さんの尻に敷かれた旦那さんが増えたのかな・・・。いや、そんなことはないとおもう。多分、女性が声高に「セクハラ」とか言っちゃったからかなぁ・・・。まぁ、本当のところはどうなのかは知らないが・・・。
展示を見ながら、足を進める。次に出てきたものは翡翠だった。糸魚川は翡翠の産地らしい。採集は厳格で、僕らが勝手に翡翠を取ることは出来ない。
「綺麗・・・。」
「本当。」
「私と翡翠どっちが綺麗。」
「えっ、それ聞く。」
「気になるもん。」
「・・・萌だよ。」
「フフフ・・・。ありがとう。」
「ワッ、チョッ、くっつくな。」
「良いじゃん、減るものじゃないんだし。私はもうちょっとナガシィとくっついていたいし。」
「・・・後でね。」
翡翠に見とれていると時間というものはあっという間に流れていった。糸魚川駅に戻り、そこから新幹線で飯山駅に移動する。
糸魚川11時46分→「はくたか660号」→飯山12時11分
最長往復切符往路糸魚川駅から使用再開
E16系新幹線で運行する「はくたか660号」は次の上越妙高駅に停車。上越妙高駅ではJRの管轄が西日本旅客鉄道から東日本旅客鉄道に変わり、正式に往路での西日本旅客鉄道の使用が終了する。
「・・・。」
僕は持っている特急券を眺めた。
「どうかした。」
「いや、北陸新幹線って上越妙高で管轄が変わるせいで、特急料金が跳ね上がるじゃん・・・。特定特急料金だけで乗ったら結構安いんだよなぁ。」
北陸新幹線の糸魚川~飯山間の指定席料金は3010円である。自由席特急料金は3010円の520円引きであるから、2490円だ。これは糸魚川→飯山を通しで買った場合の金額だ。
これを糸魚川→上越妙高、上越妙高→飯山とわけて自由席特急券を買うと860円の特定特急料金かける2の1720円だ。その差はなんと770円だ。決して小さい差では無いと思う。
「北陸新幹線は整備新幹線だからね。新幹線の売り上げで、建設費用の回収をしなきゃいけないからじゃない。」
「そりゃ、そうだけど・・・。こういうのはやんない方が良かったんじゃないかなぁ・・・。九州も北海道も値段の跳ね上がり方が半端じゃないし。。」
「・・・そりゃねぇ・・・。」
長いトンネルを抜け、列車は飯山駅に入った。E16系の爆音ブレーキは相変わらずだった。
最長往復切符往路飯山駅で途中下車




