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MAIN TRAFFIC6 -日本一の切符2062-  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Japan Railways Ticket
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533列車 大富豪セーラー

 僕は時刻表を手に取った。早速計画を起こしていこうか。今回やろうとしている最長往復切符の旅は今までとは段違いの旅となる。最長往復切符の有効日数は少し短くなったとは言え100日を超える。今の状態なら108日以上はあるはずだ。年を取り過ぎた僕たちはこの有効日数をフルに使ってまわってくることになるだろう。ここで問題になるのはお金と体力だ。

嬉野温泉(うれしのおんせん)までは普通に行く。」

(もえ)が隣で言う。

「そうだねぇ・・・。お金あんまり無いんだし、そうするのが一番かもね。」

僕は時刻表の山陽(さんよう)九州(きゅうしゅう)長崎新幹線(ながさきしんかんせん)が載っているページを開く。嬉野温泉(うれしのおんせん)九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)長崎(ながさき)ルートに含まれている。そこに行く列車は新大阪(しんおおさか)から「かもめ」一本か、博多(はかた)で「かもめ」に乗り換えるかだ。

「あまり乗り換えはしたくないよねぇ。」

僕は(もえ)の顔を見ながら言った。

「そうねぇ。私は別に乗り換えていってもいいけど。」

とは言っても乗り換えない方がいいよねぇ・・・。僕は新大阪(しんおおさか)9時14分発の「かもめ657号」に目をとめる。停車駅は新神戸(しんこうべ)姫路(ひめじ)岡山(おかやま)福山(ふくやま)広島(ひろしま)小倉(こくら)博多(はかた)新鳥栖(しんとす)佐賀(さが)諫早(いさはや)長崎(ながさき)。最長往復切符の起点である嬉野温泉(うれしのおんせん)を通過する列車であるが、嬉野温泉(うれしのおんせん)まで有効な乗車券と嬉野温泉(うれしのおんせん)から有効な乗車券を持っていれば問題なく乗れる。特急券は新大阪(しんおおさか)諫早(いさはや)で買えば良い。

「「あかつき」は無いの。」

(もえ)が聞く。「あかつき」は九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)長崎(ながさき)ルート全通時に設定された長崎(ながさき)ルート最速達種別だ。停車駅は新神戸(しんこうべ)岡山(おかやま)広島(ひろしま)小倉(こくら)博多(はかた)佐賀(さが)諫早(いさはや)であり、新大阪(しんおおさか)博多(はかた)間では「のぞみ」・「みずほ」と同じ指定席特急料金が適用される。

「「あかつき」は有るけど、8時55分発だねぇ・・・。別に「かもめ」でもいいんじゃ無いかな、「あかつき」って高いし・・・。」

「自由席座れば「あかつき」も「かもめ」も特急料金変わらないけどね。」

確かにね・・・。

「コン、コン。」

誰かがノックした。

「お父さん、お母さんいらっしゃいますか。」

亜美(あみ)ちゃんか。

「なぁに。」

「お二人にお話がございます。お時間よろしいでしょうか。」

「話・・・。」

僕と(もえ)は顔を見合わせた。何の話なんだろう。そう思って僕らは扉を開けた。亜美(あみ)は一礼してから部屋に入る。

「最長往復切符されるのですか。」

「まぁね。」

僕はそう答える。

「ところで、話って言うのは何なのかな。」

「お話というのはその最長往復切符のことです。これからお話ししますのは私と旦那で勝手に話したことでありますので、私達の提案を断るというのでしたら、どうぞ気兼ねなくお断りください。」

一呼吸置いて、亜美(あみ)は本題に入った。

「その最長往復切符の旅を私達からお父さんの退職祝いとしてプレゼントしたいと思っています。」

「えっ。」

僕らは顔を見合わせた。

「いや、別に買って貰おうなんて・・・。」

「ご意見は後程お願いします。」

「あっ・・・はい。」

僕と(もえ)は声を揃える。その声を聞いてから亜美(あみ)は再び説明し始める。

「お二人が最長往復切符の旅をする際、私達はお二人の旅を全面的に支援します。例としては最長往復切符、各種特急券、乗車券の発行、購入、予約の代行。宿泊施設の予約の代行。そして、経費の全額負担です。ここで言う経費とは切符代金、ホテル代金です。食費、観光にかかるお金に関しては私達では支援しかねますので、ご了承ください。」

「・・・。」

何かすごい話をされているというのは分かる。

「もう終わりかなぁ・・・。」

(もえ)が口を開く。

「はい、終了です。いかがですか。」

「いかがですかっていわれても・・・。えっ、旅費全額負担してくれるって別にそこまでしてくれなくても。」

「言いましたでしょう、これは私と旦那が勝手に決めたお話だと。断られるのでしたら、ご決断もお早めにお願いします。仮に支援するとなった場合のこちらの都合もありますので。」

「・・・。」

「いいんじゃ無いの、話受けても。せっかく言ってきてくれてるのに。」

「分かってないわねぇ・・・。いい、ナガシィが播州(ばんしゅう)さんにやった支援とは訳が違うのよ。全額よ、全額。しかも、二人分でしょ。」

そう言うと亜美(あみ)が「左様です」。と言う。

「200万は普通にかかる金額を全部負担してくれるって言ってるの。事の重大さ分かるでしょ。」

「分かるよ。」

「本当に分かってる。」

「分かってるって。いいじゃん、別に受けても。」

「・・・もう・・・。」

(もえ)は呆れた顔をした。

亜美(あみ)ちゃん、ちょっといいかしら。二人で話しましょう。私の旦那は分かってないから。」

いや、理解はしてるんだけどなぁ・・・。(もえ)はそう言うと一旦部屋から出て行った。

 しばらくたつと(もえ)は部屋に戻ってきた。

「それで、どうなったの。」

僕が聞くと、

「・・・ナガシィ・・・。ナガシィがさ、播州(ばんしゅう)さんに1万円渡そうとした時、なんて思ってたの。」

と聞いてきた。

「金欠って言ってたしねぇ。だから、少しでも助けになれるようにと思って渡したね。後は「資金難で最長往復切符の旅失敗です」なんて聞きたくなかったし。どうしても播州(ばんしゅう)さんには旅を成功して欲しかったからかな・・・。」

「・・・鉄道ファンってそういう頭のおかしいところ有るのかなぁ・・・。」

「で、さっきの話はどうなったの。まだ聞いてないけど。」

「ナガシィ。受けることにするわ。ナガシィが言うせっかくって言うのもあるから。」

「ふぅん。」

(もえ)亜美(あみ)ちゃんに何を言われたのかは聞かないことにしよう。

(全額負担すること何も思わないでください。私達は一鉄道ファンとしてお二人に旅をして貰いたいんです。資金難で旅が出来ないなんて、私はそんな状態に陥って欲しくはありませんし、見たくもありません。)

これは僕の想像である。

「オッケイ、グー○ル。日本鉄道の路線データを参照。」

「路線データヲ参照シマス。・・・路線データヲ参照シマシタ。」

「最長ルートの計算・・・。」

「処理要領過大デス。御命令ヲ実行出来マセン。」


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