594列車 315系だらけ
2062年3月26日・日曜日(第19日目)天候:晴れのち曇り 東海旅客鉄道飯田線小和田駅。
「まもなく電車が来ます。ご注意ください。」
電子音声が山の中に虚しく流れる。時間は16時をまもなくまわろうとしている頃。こんな山の中野駅にも時間になれば列車がやってくる。そして、彼らは律儀に止まるのだ。日本の鉄道システムの優秀さに脱帽するしかない。
僕たちは「愛」と書かれたベンチから達、ホームへと行った。小さい駅だが、「飯田線秘境駅号」が運行されるだけあって、整備はちゃんとされていた。トイレはないんだけどね・・・。
まぁ、「飯田線秘境駅号」もこの駅に停まる時間は短い。この駅を訪れる人のほとんどはそう言う人で列車から降りても数分の内にこの小和田駅から離れていく。利用するかも分からないトイレなど整備するだけお金の無駄なのだろう。
白いライトを付けた315系がゆっくりと小和田駅のホームに止まる。ドア横に付いている押しボタンを押して、車内に入ると萌は一目散にトイレに入っていった。用を足して、出てきたら、
「間に合って良かったな。」
と言った。
小和田16時01分→中部天竜16時28分→豊橋18時24分
「ふぅ・・・危うくナガシィの前でね・・・。さすがに梓みたいな失態はしないわよ。」
(・・・それ言っちゃっていいのか・・・。)
小和田駅から30分経たないうちに列車は終点の中部天竜駅に到着する。中部天竜駅にはかつて佐久間レールパークという鉄道展示施設が併設されていた。それは、名古屋のリニア鉄道間の会館とともに統合・閉園している。今現在は車両が展示されていたところがただ広い空き地になっているだけだ。これといった活用法もないらしい・・・。
僕らは一旦列車の外に降りた。のびをして、これからの旅路に備える。
フルカラーLEDの行き先表示は中部天竜から一瞬で豊橋に切り替わる。この列車はここまで中部天竜行きとして運行してきたが、この先豊橋行きの列車に切り替わる。車両は引き続き、この315系が用いられるのだ。中部天竜から豊橋までまだ2時間くらいかかる。
「315系ってさぁ。」
萌が言う。
「座席結構柔らかいよね。長時間乗っていてもあんまり疲れないというか。」
「・・・ああ、確かにねぇ・・・。」
東海旅客鉄道の在来線車両って基本的にシートが固くないんだよなぁ・・・。新幹線の普通車はあんまり柔らかくないのに・・・。
「さ、時間だし戻ろう。」
僕たちは車内に戻り、日々続き飯田線を南下する。
新城、本長篠、豊川駅と過ぎ、豊橋の中へと入る。川を渡る手前で名古屋鉄道線と合流する。ここからは名古屋鉄道との供用区間に入るため、対向車に名古屋鉄道の車両になることがある。
名鉄スカーレットの車両を横目に豊橋駅に進入。長い飯田線の旅が終わりを告げる。
最長往復切符往路豊橋駅で途中下車
「萌、どうする。晩ご飯でも食べる。」
「食べる、食べる。本当お腹すいたもん。」
「じゃあ、何か食べるかぁ・・・。」
「そこのお蕎麦は・・・。」
「豊橋のお蕎麦は悪い評判しか聞いたことないしパス。」
「珍しく今日はこだわるわねぇ・・・。」
今日はちょっとパスタにでもしてみよう。豊橋の改札を出て、右側に歩いてレストランが入っている場所へと急ぐ。お店に入って大盛りにでもしてみようかとも思ったが、そんなにお腹の中に入らない。普通盛りで我慢するかぁ・・・。
ご飯を食べ終わり、少し時間を空けてから、東海道本線を東へ進む。使っている車両はまたも315系だ。東海旅客鉄道の館内には315系しか走っていないんじゃないかと思えるくらいに乗るなぁ・・・。車内にはロングシートが並ぶ。飯田線で乗った転換クロスシートの1600番台やセミクロスシートの3000番台とはまた違う。3両編成ロングシート車。静岡配置の315系2500番台か・・・。複雑だ・・・。
豊橋19時51分→浜松20時25分
豊橋を発車すると「次は二川」とのアナウンスが入る。列車はグイグイとスピードを上げ、110キロくらいにまで加速する。
「結構飛ばすなぁ・・・。」
GPSスピードメーターアプリを見ていてそう思う。この豊橋~浜松間は名古屋方面から来るとかなり遅く感じてしまう区間だ。だが、スピードを見るとそうでもない。ここが遅いと感じる要素はスピード的にはないのか・・・。じゃあ、一体何で・・・。
浜名湖を渡り、浜松が少しずつ近づいてくる。隣を新幹線が通過すると今でも東京~大阪の移動が旺盛であると言うことが分かる。
「まもなく終点浜松、浜松です。乗り換えのご案内をいたします。東海道新幹線・・・。」
「ここまで最長往復切符で良く来たわね。」
「ハハハ・・・、まだ往路すら終わってないけどね・・・。」
「今日はホテルの心配しなくても良いって良いよねぇ。」
「それはいつもだろう・・・。」
最長往復切符往路浜松駅で途中下車
新浜松→遠州鉄道→芝本
一口メモ
東海旅客鉄道315系2500番台
静岡地区に投入された315系系列。3両編成オールロングシート車で構成されている。211系5000番台の老朽置き換え用として投入され、現在では機器更新を行われている。彼らの投入によって静岡地区からトイレ無しで運行する列車が全廃された。




