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MAIN TRAFFIC6 -日本一の切符2062-  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Japan Railways Ticket
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530列車 ママの提案

(後ろを振り返りますと、こちらに猫が向かってくるんですね。何かもらえると思っているのかな。ひしひしとこちらに近づいてきます。・・・「ニャー」。鳴き出しました。・・・あら・・・。「ニャー」。あらー、君私に用があるんじゃなかったの。これはちょっと恥ずかしいですね。)

「・・・。」

目が覚めた。起き上がって、自分の手元に置いてあるホログラムを起動する。ホログラムには時刻が表示される。16時22分・・・。昼寝のつもりが少し長い時間寝ていたらしい。

 あれから1週間くらいたった。おじいとおばあの話は完全に稚内(わっかない)行きに限定されてきている。本当に究極の旅行をする気は無いのだろうか。

「コン、コン。」

「誰。」

稲穂(いなほ)。ママよ。ご飯作るの手伝ってくれない。」

「分かったよ、ママ。今行く。」

自分の部屋から出ると部屋の前でママが待っていた。

「ひばり姉は手伝ってくれなかったの。」

「うん、お姉ちゃんは手伝ってくれないの。またまた「ゼロ様マジイケメン」って言ってるわ。」

「ひばり姉・・・。そんなにイケメンが良いの・・・。」

「あら、稲穂(いなほ)も好きな男の子がいるでしょ。その人は稲穂(いなほ)にとってイケメンじゃないのかな。」

「ッ・・・。」

えっ、何でそのこと知ってるの。

「フフフ。ママには何でもお見通しなのよ。稲穂(いなほ)はいっつも「イケメンのどこが良い」って言うけど、言ってることが矛盾してるわ。枕の下にある男の子の写真・・・。」

そこまで知ってるなんて・・・。恥ずかしすぎる。

「ごめん、ちょっとからかいすぎたわ。」

 台所に行き、いつものように準備を始める。食材を切ったり、野菜を炒めたり、慣れた手つきで事を進める。

「ねぇ、ママ。おじいとおばあ本当に究極の旅行する気無いのかな。」

と聞いた。

「・・・。」

ママはそれに何も答えなかった。

稲穂(いなほ)はその究極の旅行をして欲しいのかしら。」

私は何も言わずに頷く。

「そうよねぇ。稲穂(いなほ)はおじいちゃんとおばあちゃんの間で一緒に播州(ばんしゅう)さんの旅動画を見てたし、いつも二人の「いつか行きたい」って言う会話を聞いてたからね。究極の旅行をして欲しいって思うのも無理ないか。稲穂(いなほ)・・・それは私も同じ。」

「えっ。」

「ママだって、二人には最長往復切符の旅はして欲しいわ。二人の「いつか行きたい」を聞いていたのはママも同じだからね。同じ鉄道好きとして、近くでそういう話をされているから、是非とも二人には最長往復切符の旅をして欲しいのよね。」

「・・・ママって電車好きだっけ・・・てっきり、旅行が好きなんだと思ってた。」

「ママは旅行も好きだけど、鉄道も好きなの。まぁ、ママがそうなったのは私の両親への反骨だったんだけどね。」

「・・・。」

「でも、行くかどうかを決めるのはあの二人。私達がやって欲しいと思っても、あの二人にそれを強要することは出来ないわ。」

「お皿取ってくる・・・。」

「えっ、あっ、ありがとう。」

私はママの言葉を聞いて愕然としていた。逃げるように食器棚のほうへと行った。「強要することが出来ない」かぁ・・・。ママもそう思ってるって事はもう・・・。食器棚の扉を開けると数枚皿が落ちてきた。前にしまった時にしっかりと置かれていなかったらしい。落ちてきた皿は大きな音を立てて床に落ち、そして割れる。

「大丈夫、稲穂(いなほ)。」

「う・・・うん・・・。」

「ママ、今大きな音したよ。」

大きな音に北斗(ほくと)がやってくる。

北斗(ほくと)、こっちに来ちゃダメ。お皿の破片で怪我するかもしれないから。」

そう言っている間にひばり姉が現れ、全てを察して、北斗(ほくと)をだっこして離れていった。「稲穂(いなほ)お姉ちゃんお皿割っちゃったの。」そんな北斗(ほくと)の声が聞こえる。それよりも割れたお皿を片付けないと、そう思い、ほうきとちりとりを取りに行こうとした時、

「痛っ。」

左足に痛みが走る。すぐに何が起こったのか察した。

「ひばり、救急セット取ってきてくれない。」

「分かった。」

稲穂(いなほ)、後のことは全部ママがやるからゆっくりしてて。」

 手当を捨て貰ってから、私はソファーに腰掛けた。そうなると手に何も持っていないのが気になり始める。

「メイチャン。」

私がそう呼ぶと白い色のロボットが反応する。

「オ呼ビデショウカ、稲穂(いなほ)様。」

「私のスマホ取ってきてくれない。」

「承知イタシマシタ。」

ロボットは頭を下げてから、足を動かして、私の部屋へと向かっていく。メイチャンはすぐにピンクのスマホを手に持ち戻ってきた。

「オ待タセイタシマシタ。」

「ありがとう、メイチャン。」

「ゴ要望ガ有リマシタラ、マタオ申シ付ケ下サイ。」

頭を下げて、ロボットは定位置に戻った。ふと気付くと膝の上が重くなっている。

稲穂(いなほ)お姉ちゃんのおっぱい柔らかい。」

「やめて、北斗(ほくと)君・・・。てか、ひばり姉は遊んでくれなかったの。」

「うん、ひばりお姉ちゃん遊んでくれないんだもん。ちょっとスカートめくってパンツ見ただけなのに。だから、稲穂(いなほ)お姉ちゃんと遊びたいの。稲穂(いなほ)お姉ちゃんが遊んでくれるって言うまでおっぱいもんじゃう。」

それは絶対に遊んでくれないやつだ。

「・・・もう・・・分かったから。胸触らないで。」

稲穂(いなほ)北斗(ほくと)晩ご飯の準備できたから、おいで。」

ママが呼びに来ていた。

「ええ。稲穂(いなほ)お姉ちゃんと遊びたいの。」

北斗(ほくと)の手が私の胸をぎゅっとつかむ。

北斗(ほくと)君。遊ぶのは晩ご飯が食べ終わってからにしよう。その後いっぱい遊んであげるから。」

そう言うと「うん、約束だよ。」と行って、走って行った。

「ねぇ、稲穂(いなほ)。さっきの話の続きだけどさ、ママは稲穂(いなほ)の「旅をして欲しい」って言う気持ちを二人に伝えてみたらどうかな。それで二人が行きたくないって言ったら諦めましょう。」

「・・・分かったよ、ママ。そうすることにする。」


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