565列車 午後の1本
2062年3月13日・月曜日(第6日目)天候:晴れ 西日本旅客鉄道山陽本線厚狭駅。
「はい、厚狭駅に到着でございます。」
太陽は西に傾き始めている。漢字を見なければ、ここには朝に来るのが適当かもしれない。
「ハハハ。朝じゃないけどね。」
「本当。」
さて、どうしようか。このまま小野田線へ急いでもいいのだが、うまい接続というものは無い。この先僕たちは山陽本線を東へ一駅進み小野田駅と言うところから小野田線に入る。小野田線雀田駅で小野田線の支線本山支線に乗ってから、宇部線を通り新山口に行く。この本山支線には列車が少ない。今の時間から最も早い列車は雀田発18時12分。長門本山行きの最終列車だ。
「コンビニとかで時間つぶす。それとも私で時間をつぶす。」
「ハハハ。萌え出時間つぶしたら、僕が捕まるよ。」
「時間はすぐに経つわよ。」
「そう言う挑発には乗らないよ。てか、歳考えろ、歳。」
厚狭17時26分→小野田17時32分
小野田17時41分→雀田17時56分
最長往復切符往路雀田駅で途中下車
雀田→長門本山乗車整理券所持、長門本山にて運賃精算の上乗車
雀田18時12分→長門本山18時17分
辺りは暗くなり始める。結局、長門本山まで来たのは僕たち2人と8人の学生達だった。最果ての地へ来たわけでもないのに、この最果て感は何だろうか。
「何にも無いね・・・。」
「何にも無いていうか、酷。これは。」
ホームには125系がぽつんと止まっているだけである。
「ドアの横のボタンを押してください。ドアが開きます。」
電子音声が虚しく流れる。折り返しまで20分あるが、この列車を待っていた人は誰一人としておらず、またこの列車に乗りに来る人の気配もない。
「ナガシィ。これ見て。」
萌は駅にある時刻表を指さした。長門市で見た美祢線の時刻表もスカスカだと思っていたが、こちらはそれにさらに拍車がかかっている。列車は1日3本。7時10分発雀田行き、7時36分発宇部新川行き、そして18時37分発宇部新川行きで終わりだ。7時36分の列車が出発すると実に11時間列車がない。
「だーれも利用しないんだな。」
「そうねぇ・・・。」
「鉄道好きとしては結構悲しい事態だけどねぇ・・・。」
「うーん・・・。」
列車は20分と待っていたが、乗りに来た人は1人だった。僕らとしてはその1人にかなり驚いたものである。
長門本山18時37分→雀田18時42分
長門本山→雀田乗車整理券所持、小野田線宇部線直通新山口行き列車内で運賃精算の上乗車
雀田駅では列車を乗り換える。長門本山を発った列車は雀田で40分間停車する。その間に小野田駅からやってくる新山口行きの列車が接続するため、そちらに乗り換え新山口を目指す。
雀田18時48分→新山口19時52分
最長往復切符往路新山口駅で途中下車
新山口駅で時間をつぶし、手頃な食事処を探し当てる。食事を済ませて、山口線のディーゼルカーに乗り津和野を目指した。22時47分。最長往復切符の旅に入って以来最も遅い時間に目的地に到着となる日であった。
新山口21時10分→津和野22時47分
最長往復切符往路津和野駅で途中下車
一口メモ
西日本旅客鉄道125系1000番台
小野田線向けに投入した電車。国鉄で使用していた123系を置き換えるため、227系の顔をくっつけた125系として製造された。突然の故障に対応するため、機器類は2重系化されており、壊れにくい電車となっている。小野田線、宇部線で運用され、宇部線で運用される。




