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560列車 「かわせみ やませみ」

 2062年3月11日・土曜日(第4日目)天候:曇りのち雨 九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)肥薩線(ひさつせん)人吉(ひとよし)駅。

 山の天気というものは変わりやすい。曇っていたものの、途中から雨が降ってきた。さっさと人吉(ひとよし)駅まで戻り、そこからすぐに折り返せる列車に乗り込む。といっても、最初から人吉(ひとよし)はすぐに後にするつもりだったのだが・・・。乗る列車は「かわせみ やませみ4号」熊本(くまもと)行き。この列車で新八代(しんやつしろ)駅まで戻り、新八代(しんやつしろ)からは九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)に乗り換えていく。

「ナガシィが好きそうなのあったのになぁ。入っていきたかった。」

(もえ)が隣で言う。小悪魔め・・・。

「そんなに僕に見られたいの。」

「えーっ。エッチ。」

「すぐそう言う・・・。」

とは言っても、年も年だ。(もえ)の裸を見たいと思うほどのこともない。僕が今のひばりちゃんクラスに若かったら思うかな。いや、無理か。(もえ)もそれクラスに若くないと・・・。

 「かわせみ やませみ」の車内は機が多用されている。照明の覆いも木で出来ているし、かなり凝っている。九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)の特急列車というのはいつも個性的なものが多い。そりゃ、これと東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)を比べたら、あっちじゃ地味だろうなぁ・・・。

人吉(ひとよし)13時20分→「かわせみ やませみ4号」→新八代(しんやつしろ)14時36分

人吉(ひとよし)新八代(しんやつしろ)(かえり)の乗車券使用開始および終了

 新八代(しんやつしろ)からは新幹線に乗り、川内(せんだい)駅で降りる。川内(せんだい)からは鹿児島本線(かごしまほんせん)の普通列車に乗り、鹿児島(かごしま)に向かう。

新八代(しんやつしろ)15時09分→「さくら411号」→川内(せんだい)15時41分

川内(せんだい)15時59分→鹿児島中央(かごしまちゅうおう)16時52分

最長往復切符往路新八代(しんやつしろ)駅から使用再開

 新八代(しんやつしろ)から川内(せんだい)の間の在来線はつながっていない。それはJRとしてつながっていないと言うだけであって、線路はちゃんと「肥薩(ひさつ)おれんじ鉄道(てつどう)」という私鉄線でつながっている。しかし、最長往復切符では私鉄を組み込むことが基本出来ない。こういう所は新幹線で回避するか、そもそも迂回するほか無い。短い区間でも新幹線に乗らざるを得ないのが最長往復切符のばからしいところの一つでもある。

最長往復切符往路鹿児島中央(かごしまちゅうおう)駅で途中下車

 今日は鹿児島中央(かごしまちゅうおう)に泊まる。ホテルに荷物を置いて、僕たちは街へと繰り出した。

「ナガシィ。どうする夜ご飯。」

「そうだなぁ・・・。」

僕はちょっと考えた。

「地鶏でも食べる。鹿児島(かごしま)宮崎(みやざき)県産鶏肉使用だから、地鶏だよ。」

僕は(もえ)にそう聞きながら、ファストフード店を指さす。

「地鶏って・・・。ブロイラーでしょ。それに私あんまり脂っこいもの食べれないんだけど。」

「ハハハ。それは僕も同じ。昔みたいには行かないな・・・。」

「・・・うーん、どうしよう。・・・敬天カフェはどう。」

「ああ。あそこ・・・。」

場所が分かるなぁ。でもあんまり行く気も起きない。そこは復路で言ってもいいんじゃないだろうか。結局そう言う話になる。

 鹿児島(かごしま)の街をある行きまわっていると、水車のある場所にやってきた。水車と言っても木で出来た大きいものではなくて、小さいものだ。それも、水の動きとは反対回りで回っている。これが熊本(くまもと)の技術の粋を結集して作り上げた鹿児島(かごしま)の水車か。

「どうする。」

「どうしようか。」

普段からあんまり食べ物に関してよく考えないものだからなぁ。なかなか決まらない。

「あっ、ナガシィ。」

「んっ。」

「お誕生日おめでとう。」

「えっ、今頃。」

「ちゃんと覚えてたからね。私の時も祝ってよ。」

「・・・はい、はい。」


一口メモ

九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)YC81系200番台

九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)が製造したYC81系の足回りをベースに「かわせみ やませみ」の車体を乗せた車両。緑色の「山翡翠」、青色の「翡翠」と赤色の「いさぶろう」・「しんぺい」がこのグループに属する。


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