556列車 最長の片鱗
2062年3月9日・木曜日(第2日目)天候:晴れ 九州旅客鉄道鹿児島本線博多駅。
今日はもうこの博多駅には戻ってこない。僕たちは荷物を持って博多駅に向かう。博多駅は朝のラッシュ時間帯は過ぎ、人並みはそういう時間よりは少なくなっているのかもしれない。だが、それはよそ者の僕たちにはよく分からない。乗る列車は鳥栖方面行きの列車だ。
博多9時58分→原田10時36分
転換クロスシートに腰掛け、ゆったりと流れる車窓を眺める。約30分経つと列車は原田駅に到着した。この漢字で「はるだ」と読む。九州には「原」の字を「はる」と読むところが多い。知らないと読めないな。
原田からは筑豊本線に乗り換える。実は、10時近くまで博多駅のホテルにいたのは筑豊本線の列車に合わせる為でもある。
「この列車を逃したら、行程に思いっきり影響するよね。」
萌が時刻表を見る。指を指しているのはこれから乗る10時52分の列車。次の列車は13時56分。3時間4分後の出発だ。
「うーん。行程には影響ないんじゃない。日田に付くのがすっごく遅くなるだけでしょ。」
僕はそう笑った。
原田10時52分→桂川11時21分
YC1系2形の1両編成の列車に乗る。モーターで走るので、坂にくるとモーターがうなった。しかし、ディーゼルカーのようにえっちらおっちら登るというイメージとは違う。あまり苦労せずに登っているような印象だ。
約30分経つと、終点の桂川に到着する。僕たちが住んでいる近くには「かつらがわ」という場所があるが、こちらは桂川と読む。これも知っていなければ読めないな。桂川からは篠栗線に乗り換え、博多方面に戻る。次の目的地は吉塚駅だが、吉塚駅は博多駅の一つ隣である。一つ隣に行くだけで2時間近くかけているのだ。なんともまぁ、頭のおかしいことをしている。しかも、二人で・・・。
桂川11時25分→吉塚11時54分
「お昼だねぇ。」
列車を降りると萌が言う。
「そうだな。どっかでお昼食べようか。」
最長往復切符往路吉塚駅で途中下車
「何食べる。おととい、昨日とずっと博多のあたりにいたからね。」
「・・・博多ラーメンでも食べる。」
「僕豚骨ラーメンあんまり好きじゃないんだよなぁ・・・。あの臭いが・・・。」
豚骨ラーメン特有の臭いが好きになれない。初めて食べたとき「何これ」と思ったものだからなぁ・・・。僕はラーメンというと醤油ラーメンが一番いい。
「でも、探してみると博多ラーメン多いねぇ。東京とかで言ううどん、蕎麦が博多じゃあラーメンなのね。」
「播州さんも言ってたね。」
「うどん、蕎麦感覚でラーメン食べるって言うのが私にも想像出来ないなぁ。」
「地方が変わればこんなもんなのかな。」
「そうね。で、結局どうする。今の時間どこも混んでるわよ。」
「そうだなぁ・・・。どうしよう。」
結局博多ラーメンを食べることで落ち着いた。




