714列車 かったるい
2062年5月20日・土曜日(第74日目)天候:晴れ 東日本旅客鉄道東海道本線(京浜東北線)鶴見駅。
ここまで一貫して僕たちはのんびりとした首都圏周辺の鉄道路線に乗ってきていた。しかし、ここからは様子が違ってくる。青いラインの入る10両編成の電車が何分おきを言う感覚でひっきりなしに入ってくる路線。京浜東北線に乗り換える。
鶴見12時49分→桜木町13時02分
ドア上にあるLCDには「京浜東北線」と青文字ででている。ただ、「京浜東北線」という路線は実際には存在しない。大船~根岸~横浜~品川~東京~上野~蕨~大宮を走り、東海道本線の列車よりもこまめに停車する青いラインの入った電車を分かりやすくする為に「京浜東北線」と呼んでいるのだ。
しかし、鉄道ファンでも無い限りそう言われてもピンとこないだろう。ピンとこないと言うことは「京浜東北線」がそれだけ定着したことの裏返しだと思って良いな。
横浜駅を通り過ぎ、電車は根岸線へと入る。
最長往復切符復路桜木町駅で途中下車
僕たちは桜木町のホームへと降り立つ。
「新橋には行かなかったけど、こっちには来たね。」
「日本一古い駅の一つに下車完了。」
そう言いあった。
桜木町駅は日本でいち早く開業した新橋~横浜間の終点である。今の横浜駅と昔の横浜駅はある位置が違っており、今の桜木町駅に昔の横浜駅が出来たのだ。
「この区間から日本の鉄道の歴史が始まったんだよねぇ。」
「今こういう旅が出来るのは全ての始まりがこの区間からだからなんだよな。」
1922年10月14日。現在の東海道本線新橋~根岸線桜木町間が開業。当時の所要時間は53分かかっていたらしい。
「ああ、でもさ。」
萌が少し声を小さくして、
「線路は続く余床まで持って歌の歌詞があんまり子供向けじゃなかったのはショックだったなぁ・・・。」
ふと播州さんが桜木町駅で途中下車した時の光景が頭の中に浮かぶ。
たしか、線路は続く余床までもの本来の歌詞は「こんな朝早くから鉄道の整備をさせやがって」みたいな保線作業員のひがみみたいな歌だったっけ。
「もうちょっと夢があっても良いんじゃない。」
「作るのが大人だからなぁ・・・。勝手に夢がなくなるんじゃない。」
「・・・。」
「むしろ、文句をあれだけ改変しただけ日本人は凄いと思うよ。」
「・・・元の歌詞もついでに変えちゃえばよかったのに。」
桜木町13時38分→大船14時05分
最長往復切符復路大船駅で途中下車




