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699列車 モグラ駅2つめ

 2062年5月14日・日曜日(第68日目)天候:曇り時々晴れ えちごトキめき鉄道日本海(にほんかい)ひすいライン糸魚川(いといがわ)駅。

「最初はグー、じゃんけんぽん。」

「ヨシッ、勝った。」

「ああ、負けちゃった・・・。ナガシィにじゃんけんで負けるのって久しぶりな気がするなぁ・・・。」

萌はそうつぶやいた。

「まぁ、今日は僕のプランに従って貰おうかな。」

「別にいいわよ。ていうかじゃんけんする必要あった。」

「やってからそれ言う。まぁ、いいけど。」

朝の真剣勝負は終わった。

 何故朝からじゃんけんをしていたかというと今日の行程を決めるためであった。南小谷(みなみおたり)から先の予定は決まっているも同然なのだが、南小谷(みなみおたり)までの行程を決める必要があったからだ。

 今日は僕の決めたプランでえちごトキめき鉄道日本海(にほんかい)ひすいラインに乗ることとなった。

糸魚川(いといがわ)8時53分→筒石(つついし)9時15分

糸魚川(いといがわ)筒石(つついし)間の乗車券ゆき使用開始

 列車は日本海(にほんかい)沿いに走るのだが、ほとんどトンネルの中を抜けて行ってしまう。開業当初の北陸本線(ほくりくほんせん)は親不知として知られるこの辺りの海岸線を走っていたが、それでは輸送力を確保出来ない。程なくして北陸本線(ほくりくほんせん)(現えちごトキめき鉄道日本海(にほんかい)ひすいライン)はトンネルに切り替えられた。

 ディーゼルエンジンの音がトンネル内に反響する。その音がにわかに小さくなり始めると列車はスピードを落とし、トンネルの中に止まった。

糸魚川(いといがわ)筒石(つついし)間の乗車券ゆき使用終了

「へぇ・・・。こんな所に駅がねぇ・・・。」

その声がトンネルの中に響いた。

 ホームはとても狭い。体一つ黄色い線の内側に入るかは要らないかくらいの広さしかない。ここまで乗ってきたディーゼルカーは僕らの背中をかすめんとせん距離を動いていく。

「怖いところ走っていくわね。」

萌が一言言う。トンネル内ではさっき出て行ったディーゼルカーのエンジンが大きいうなりを上げているのが聞こえてきている。萌は近くにいるはずなのだが、その越えさえなかなか入って来づらい。

「ちょっとでるか。このままここにいるわけにも行かないし。」

 ホームの一角に頑丈そうな扉が着いている。その扉を開けるとベンチがあった。

「ここが待合室。ホームにはベンチ一つもなかったもんね。」

「そうだろうなぁ・・・。この駅使う人いるんだから凄いよなぁ・・・。」

僕たちはゆっくりと階段を上がる。補足まっすぐ延びた階段は土合(どあい)駅を彷彿とさせる。というよりも筒石(つついし)駅も土合(どあい)駅と同じような駅なんだよなぁ・・・。ただ、土合(どあい)駅と唯一違う点と言えば、筒石(つついし)駅の設置理由は新線付け替えのためである。

 階段を上がりきって駅舎に入ると駅員が一人いた。乗車券を駅員に渡して、駅舎の外に出てみる。平屋の普通の駅舎である。

「こういう駅って今はほとんど無人駅よね。」

「「そうだな。無人じゃないって珍しいよね。」

「こういう特殊な駅だから。」

「特殊って言ったら、土合(どあい)駅も十分特殊だと思うけど。」

「でも、あっちは通過列車とか無いでしょ。」

「あっちにも貨物が走ってるって。それに甲種とかも新津から持ってくる時に上越線(じょうえつせん)通るだろ。」

「あっ、そうか。」

「萌ってそう言うところ抜けて、イテッ。」

「悪かったわね。」

列車を待って、再び階段を降りて狭いホームへと出る。短い滞在でもこういう駅って言うのは見応えがある物だ。

筒石(つついし)10時06分→糸魚川(いといがわ)10時26分

筒石(つついし)糸魚川(いといがわ)間の乗車券かえり使用開始および終了


一口メモ

えちごトキめき鉄道日本海(にほんかい)ひすいライン筒石(つついし)

1912年12月16日に開業。1969年10月1日、北陸本線(ほくりくほんせん)(えちごトキめき鉄道)の複線電化に伴い頸城(くびき)トンネル内に移転する。ちょうだいトンネル内に設置された当駅は通過列車があると強風が吹き荒れるため、待合室とホームは頑丈な扉で区切られている。


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