670列車 北海道は最後
2062年4月30日・日曜日(第54日目)天候:晴れ 道南いさりび鉄道内浦線函館駅。
ホテルから荷物を持って出る。少し歩いて、函館駅にやってくる。頭端式の並んだホームには似合わない3両編成の733系1000番台が止まっている。昔はここに12両編成を組んだ寝台特急「北斗星」、「カシオペア」や最低6両の特急「スーパー白鳥」、「白鳥」、「北斗」、「スーパー北斗」が乗り入れていたのか・・・。時代は変わってしまったな。
函館9時13分→「快速はこだてライナー」→新函館北斗9時38分
函館→新函館北斗間の乗車券使用開始および終了
函館を出発し、進行方向左側側からコンクリートの高架橋が近づいてくると新函館北斗駅に到着する。
新函館北斗駅で駅前に出てみた。新幹線開業当時この辺りはホテルもなかった。今はある程度開発されていて、この辺りも少しは新幹線の駅として定着したと見える・・・が・・・。
「新幹線の駅前にしては寂しいわね。くりこま高原よりはましだけど。」
「アレと比べちゃいけないよ。」
やっぱり、駅前に目立つのはレンタカー屋さんだ。ホテルの片手に収まる程度のものが展開しているだけだ。あんまりこの駅周辺で何か行動を起こそうと思えるような場所ではなさそうなのは今でも変わっていない。新函館北斗駅はいち早く脱出することだけを考えざるを得ない。
「待合室に戻って新幹線待っとく。」
「うーん・・・。」
新函館北斗駅の新幹線上にある通路からは新幹線ホームを見ることができる。ちょうど大きいブレーキ音を立てて「はつかり97号」札幌行きが入線してきたところだった。大宮駅からの「はつかり1号」は既に札幌方面へ行ってしまっている。
「新幹線を見下ろせる駅って言うのも少ないよね。」
「そうだなぁ・・・。」
僕は少し考えながら、新幹線を見下ろすことができる駅を指折り数えてみる。もちろん、在来線とかを含め出すときりがないので新幹線限定でだ。新幹線が地上を走る駅は倶知安、新函館北斗、豊橋ぐらいなものか。少ないのは当り前か。
最長往復切符と特急券をみせて改札の中へと入リ、待合室で東京行きの「はつかり号」を待つ。
新函館北斗10時30分→「はつかり152号」→新青森11時15分
最長往復切符復路新函館北斗駅より使用再開
ゴールデンウィークが始まったとは言え、すぐに平日を挟んでしまうことから列車はあまり混んでいない。それに東京方面だからなぁ・・・帰省客なんて乗っていないものだ。
僕たちは空いている指定席に座った。この列車の次の停車駅は新青森駅だから、新函館北斗から空いている座席が埋まるということは無い。
列車は順調に加速し255キロぐらいのスピードで北海道の大地を走る。木古内駅を通過し、「列車はまもなく青函トンネルに入ります」とのお決まりのアナウンスが流れる。とうとうここまで来てしまったのだ。
いくつかトンネルを抜け、線路が大きく広がる。この場所は湯の里信号場だ。この駅を通過するとしばらくして青函トンネルに突入する。
にわかに車内が騒がしくなる。そして入った瞬間に窓が曇る。だが、それは一瞬で消えていった。高速で走る新幹線には曇りなんて付かないのか。
「これで北海道は出ちゃうんだね。」
「うん。長いようで短い北海道滞在だったな・・・。」
「結構な日数北海道にいたよねぇ・・・。次来る時は今回まわってないところもゆっくりまわりたいね。後誰かがちゃんと調べてくれなくて行けなかった場所も。」
「ハハハ・・・。これは一生言われるのかな。」
「当り前よ。ずっと忘れないから。」
「後で何か奢るから忘れてよ。」
「私のこと懐柔しようたって無駄よ。ナガシィ、ちょっとは調べてくれれば良いことだもん。そうすれば無駄な出費っていうのも無くなるのよ。分かった。」
「はいはい。」
「あっ、これは分かってないな。今日の夜はいっぱい付き合って貰うからね。」
「あーあ。今日は何されるのかねぇ。」
「ナガシィが喜ぶような展開はないからね。」
「だと思った。」
暗い外が一瞬明るくなる。それに目を細める。列車は今、吉岡定点を通過した。これで真上から北海道はなくなり海に変わったのだ。




