666列車 湯の川
2062年4月28日・金曜日(第52日目)天候:曇りのち晴れ 道南いさりび鉄道内浦線函館駅。
新函館北斗駅から20分ほど走ると線路が横に大きく広がり始める。それらが広がったホームに取り込まれていく。道南第一の都市、函館に到着したのだ。「はこだてライナー」から降り、頭端式ホームの端へと歩いて行く。
函館駅はホームの先に建物が置いてある。この先は全て海だからだ。こういう風景を見ると北海道の端まで来たのだという認識を強める。
「函館に来たのは何時ぶりだったかな。」
「さぁ、何時ぶりなんだろうねぇ・・・。」
萌はその後、
「私は函館には来たことがないんだけどなぁ・・・。」
「・・・アレ、そうだっけ。」
「そうよ。私は新婚旅行で稚内に来たことしかないのよ。」
「・・・。」
考えてみたらそうだったかな・・・。僕は寝台特急「北斗星」と、高校2年生の研修旅行で函館に来たことがあるけど・・・。それ以来なかったなぁ。
「そうだったか。」
「そうよ。まぁ、ナガシィが私の知らない誰かと一緒に来ているんなら知らないけどね。」
「浮気はしたことないんだけど・・・。」
「知ってるわよ。ナガシィはチキンだからね。」
「チキンってなぁ・・・。」
「チキンでしょ。」
「・・・。」
それは認めておこう。そういうことやっても柄を怒らせると後々怖いからなぁ・・・。と言うよりも僕自身あんまりそういうことはしたくないし。
「まぁ、僕がチキンなのかどうかはおいといて・・・。これからどこ行く。」
「うーん・・・。函館山行くにはまだ早すぎるしなぁ・・・。どうする。」
「それを聞いてるんだけどなぁ・・・。」
ふと駅前の通りに目をやる。ちょうど函館市企業局交通部の市電が発車していくところだ。
「あの市電の終点湯の川ってなってたけど、湯の川だけに温泉とか有るのかな。」
萌がそう言ったので
「有るよ、終点一個手前に湯の川温泉って言う電停が。」
「じゃあ、そこ行こうよ。」
「またお風呂入るの。」
「何。そんなに私の裸がみたいわけ。」
「いや、そういうわけでいったんじゃ無くて。そりゃ、見たいけどそう言う歳でもないし。」
「ちょっと調べてみてよ。」
「あー、はいはい。」
すこし調べてみると湯の川温泉電停から少し歩いたところに日帰りプランのある温泉施設がある。ここに行ってみることにするか。
函館駅前→函館市企業局交通部→湯の川温泉
函館市企業局交通部の市電に乗り、湯の川方面へと向かう。行き先表示には2と大きく表示されたものと5と大きく表示されたものがある。2系統は谷地頭行き。5系統は函館どつく前行きとなっているが・・・1と3、4は欠番か・・・。その理由は僕ちゃんと知ってるけどね。
湯の川温泉で思いっきり羽を伸ばしたら、この後の活力も増してくると言うものだ。
一口メモ
函館市企業局交通部
函館市を走る市電を運営する。最盛期は6路線12系統を運行したが、利用者減少に伴い2、5系統を除き廃止となった。最新型の超低床車から古さを推す「箱館ハイカラ號」まで多彩な路面電車を走らせている。




