655列車 ワッ、寒ッ
2062年4月23日・日曜日(第47日目)天候:晴れ 北海道旅客鉄道宗谷本線旭川駅。
昨日旭川に着いた時点で、数多くある最長往復切符の経路は残り1行の所まで使った。残っているのは宗谷本線と北海道高速開発鉄道線だけだ。ホテルから出て、僕たちは旭川駅のホームへとあがった。
旭川駅は日本最北端の高架駅でもある。ホームにあがるのも一つの儀式になってくる。
旭川9時06分→「サロベツ1号」→和寒9時35分
旭川→新旭川間の乗車券使用開始および終了
最長往復切符往路新旭川駅から使用再開
キハ261系は鋭い加速で旭川駅を発つ。新旭川駅を通過すると右側から石北本線が分岐する。最長往復切符はさっきの新旭川駅のところで宗谷本線に入っているのだ。往路で残ったものは本格的に残り2本になったのだ。
「まもなく、和寒。和寒です。停車時間はわずかです。」
チャイムが鳴って自動放送が入る。
最長往復切符往路和寒駅で途中下車
「ピン、ポーン。ピン、ポーン。」
「ワッ、寒っ。」
「ああ、寒いなぁ・・・。」
駅名標には和寒と漢字、平仮名で書いてある。そして、「ワッ、寒っ」はいつものダジャレだ。
そういえば、この和寒駅は和寒町にあるから和寒駅なのだが、その町名の由来はと言うと「オヒョウニレの木の傍ら」という意味があるらしい。えっと、アイヌ語って理解するためにはかなり勉強する必要がありそうだなぁ・・・。
「フィフューッ。」
ブレーキを解除し、電車並みの加速で和寒駅から離れていく。キハ261系は相変わらず速いなぁ・・・。
いったん改札口からでて、時刻表を確認する。僕たちはこれからいったん来た道を戻る。前に小幌駅でやったときみたいなことをするためである。旭川方面行きの列車は10時49分と11時51分の列車がある。どちらも目的地の駅には停車する。
「どっちの列車で行こうか。」
「うーん・・・。どっちにしよう。」
帰りの列車も見ておかないと行けないんだよなぁ・・・。だが、帰りの列車は13時台までない。列車はあるが全て通過列車だ。
「買い込みだったらこの近くにあるセイコーマートでできるわよねぇ。」
「できるなぁ。」
「じゃあ、10時49分の列車で良いんじゃないの。」
「ヨシッ。じゃあ、お昼ご飯を買いに行こうか。」
駅から出て、駅前の道を歩く。200メートルも歩けば、北海道の大正義セイコーマートが見えてくる。おにぎりとかお弁当とかかっているとふと北海道に入ってカツゲンを買っていないことに気付く。北海道に来たんだから、カツゲンは買っておかないとなぁ。
「ナガシィ。買うもの買った。」
「うん。」
「じゃあ、ちょうだい。レジしてきてあげるから。」
「お願いね。」
これで2時間の暇つぶしはいいな。
駅に戻り、10時49分発の旭川行きの快速列車に乗る。
和寒10時49分→「快速なよろ4号」→塩狩11時02分
和寒→塩狩間塩狩下車時に運賃精算の上乗車
北海道旅客鉄道キハ261系気動車・基本番台
北海道旅客鉄道とデンマーク国鉄が共同開発した北海道旅客鉄道の変態。電車並みの加速力を有し、空気バネによる車体傾斜を採用した。その結果5時間50分かかっていた札幌~稚内間396.2キロを4時間58分で走破する変態ぶりも発揮している(いくら線形改良、スピードアップがあったとはいえ凄すぎる)。しかし、予備車が少ないため数多くの代走運用もあるうえ、車体傾斜装置の撤去、最高速度の低下により4時間58分のタイムはもう永遠に塗替えることができないものともなってしまった。




