538列車 「かがやき608号」
2062年3月1日・水曜日(第-6日目)天候:曇り 西日本旅客鉄道北陸新幹線新大阪駅。
新大阪に到着すると僕らは特急「びわこエクスプレス」から降りた。車両は西日本旅客鉄道が製造した287系だ。白を基調にし、窓下に青とオレンジのラインが入る。この車両は「しらさぎ」に普段使われているものである証明だ。
「乗り心地良いわね。これ。」
「まぁ、特急型電車だしね。乗り心地最悪じゃあねぇ・・・。」
ドアが閉まり、大阪へ向けて発車していく。
「さて、僕らも行きますか。」
そう言うと僕たちは歩き始めた。朝ご飯を済ませる為、近くにあるそば屋さんに入る。
守山→京都の乗車券(連1)新大阪駅で途中下車
「萌はどっちだと思う。次の北陸新幹線。」
僕は萌にそう聞いてみた。新大阪から乗るのは8時23分発の北陸新幹線「かがやき608号」東京行きである。この「かがやき608号」に東日本旅客鉄道か西日本旅客鉄道のどちらの車両がやってくるのか。それに興味があるのだ。
「うーん・・・。頭数的には東日本の方が多いのよね。高確率でE16系じゃないのかしら。」
「・・・そうだろうね・・・。」
さて、実際に答えは洞なのだろうか。
朝ご飯を済ませると、北陸新幹線ホームまで長い道のりを歩く。昔は結構すたすたと歩けたもので、すぐに北陸新幹線ホームに着いていた気がしたが、今は歩くスピードも遅くなったせいかかなり遠く感じる。
階段・・・では無くエレベーターでホームまで降りてみる。
「あら・・・。」
「ほう・・・。」
止まっている車両に目がとまる。フルカラーLEDの方向幕を見てみると「かがやき608 指定席 東京」と書かれている。乗るのはこれで確定なのか。
「上越新幹線のだね。」
「上越新幹線のね。」
止まっていたのは確かにE16系だったのだが、ラインカラーは朱鷺色になっている。普段は上越新幹線で走っており北陸新幹線には入ってこない車両だった。
「運用の都合かしら。」
「運用の都合じゃないかな。まぁ、でも乗る分には問題ない奴だね。」
さて、乗るのは最後尾12号車の「グランクラス」だ。
「ご乗車ありがとうございます。」
アテンダントの人が頭を下げ、僕らを出迎えてくれた。それに条件反射的に「どうも」と返す。
車内には僕らを含めて5人いた。この中で東京まで行くという人は僕らだけだろうなぁ、そんなことを思っていると、
「失礼いたします。本日は「かがやき号」をご利用くださいまして、ありがとうございます。「かがやき号」ではグランクラスご乗車のお客様に軽食サービス、ソフトドリンクサービスを行っております。お決まりでしたら、お伺いいたします。」
「グランクラス」には軽食サービスがある。和軽食か洋軽食か。そのどちらかを選ぶことが出来る。和軽食なら小さいお弁当が、洋軽食ならサンドイッチが出てくる。サンドイッチじゃないよな。
「和軽食2つで。」
萌が答えた。
「和軽食お二つですね。かしこまりました。ソフトドリンクはいかがなさいますか。」
「梅酒2つでお願いします。」
また萌が頼む。
「かしこまりました。ご用意でき次第お持ちいたします。それでは「かがやき号」の旅をお楽しみください。」
頭を下げて、客室の外へと出て行った。
「おいおい。梅酒って。」
「いいじゃない。今日は東京まで行って終わりなんだから。」
「・・・。」
「別に梓ちゃんみたいに悪酔いしちゃうタイプじゃないでしょ。」
萌は笑いながら言った。
新大阪8時23分→「かがやき608号」→東京12時20分
定刻で新大阪を発つ。
「今日も北陸新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は「かがやき号」金沢・長野経由東京行きです。全車指定席で自由席はございません。」
自動放送の日本語放送が終わる頃軽食が出された。「グランクラス」のロゴが入る包みがかかった赤色のお弁当箱とグラスと梅酒のボトル。
「さっ、いただきましょう。ナガシィ。あっ、その前に乾杯しよう。」
グラスに梅酒を注ぎ、あまりうるさくないように注意しながらグラスをつきあわせる。
外がぱっと明るくなる。「かがやき」は松井山手に向けて足早に走って行った。
一口メモ
西日本旅客鉄道287系
271系の投入により余剰となった287系は体質改善工事の上で「しらさぎ」に投入された。ラインカラーは青とオレンジに改められ、「しらさぎ」のイメージカラーを踏襲している。
287系は289系2000番台とともに現在「しらさぎ」間合い運用として東海道本線の通勤特急「びわこエクスプレス」と湖西線の通勤特急「こせいエクスプレス」に充当される。
東日本旅客鉄道E16系新幹線
東日本旅客鉄道が上越・北陸新幹線向けに製造した新幹線電車。|E12系の老朽置き換え用車両。編成は上越用・北陸用どちらも12両編成で統一されており、「グランクラス」は引き続き連結されている。また西日本旅客鉄道はE16系の同型W16系を製造投入している。




