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653列車 都市伝説・・・

 2062年4月22日・土曜日(第46日目)天候:曇りのち晴れ 北海道旅客鉄道(ジェイアールほっかいどう)石北本線(せきほくほんせん)常紋信号場(じょうもんしんごうじょう)跡。

 列車はエンジンを吹かして、常紋トンネルから脱出する。自分の背中にはまだ何か腕で掴まれたままのような感覚だ。やがて、それは小さくなっていったが僕はまだ通り過ぎたトンネルのことを振り返っている。

「アレがそうよね。」

「ああ・・・。」

「入った瞬間に私も寒気がしたんだけど・・・。ナガシィは寒気とかした。」

「したね・・・。どっかまだ捕まれてる感じ。」

「ポーッ。」

列車はそんなことは知らないのか・・・。いつもと同じように汽笛を鳴らす。

 僕たちがあのトンネルで感じた違和感。それは何も都市伝説でも何でもないことだ。本当に笑えないことがあったからこそだ。

 だが、実際に何があったのかに行く前にあのトンネルにまつわる鉄道関係の話というものを見てみたいと思う。これは実際に私が聞いたことでも何でもない。インターネット上で言われている事であり、真偽を確かめられない話だ。話半分程度に聞いといてもらえるとありがたいし、実際話半分であってほしいものだ。

 さっきの左が開けた場所。あの場所は元々信号場で昔は係員も常駐したものである。だが、国鉄職員の間でその信号場に行くことはできれば避けたいことであったらしい。

 なぜなら、「その信号場勤務になると家族が死ぬ」、「正常に作動しているはずの信号が点かない、もしくは突然消える」、「異常がないにもかかわらず、エンジンの出力があがらない」・・・。これだけでもかなり危ない臭いがする。だが、この中でも一番は「あのトンネルの中には人柱が埋まっている」だろう。あの信号場というのはそう言う噂話が絶えない場所でもあった。

 もちろん、恐怖体験を語っていたりするのは国鉄職員だけに限らない。あの場所を夜中に通過する特急「オホーツク9号」か「オホーツク10号」に乗った人はトンネルを入ると同時にただならぬ違和感を覚えたと言うし、その列車の車掌は「お客さん、今の見ましたか」と聞いたという話まである。

 これだけでもかなり普通ではないことが分かるだろう。

 では、心霊スポットだと言って喜んで行くべきところかというと・・・僕はお薦めしない。そんな気持ちで行ったら本当に呪われると思う。あのトンネルとはそれだけ特殊なのだ。

「お客さん、特急券と乗車券回収します。」

車掌が走って僕らの所に駆け寄ってきた。

「ああ、えーっと・・・。」

最長往復切符と特急券をみせる。

「特急券持って帰って良いですかね。」

そう聞くと、

「ああ、そうですか・・・。はい、どうぞ。」

そう言って通してくれた。

最長往復切符往路生田原(いくたはら)駅で途中下車

 この駅は図書館に併設されている。僕たちは図書館に入った。


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