642列車 北の大地
2062年4月17日・月曜日(第41日目)天候:曇り 北海道旅客鉄道北海道新幹線吉岡定点。
トンネルないで蛍光灯がびっしりと並んでいる場所を通り過ぎる。さっきもこういう場所は通り過ぎた。2回目と言うことはこの上はもう北海道か。たった今通過したのは旧吉岡海底駅、現吉岡定点だ。
まもなくトンネルを抜け、開けた大地が広がる。
「皆様、当列車は青函トンネルを抜け、北海道へとやって参りました。」
とのアナウンスが流れる。
「来ちゃったよ。北海道。この切符で。」
「来ちゃったなぁ・・・。」
今思うと播州さんの言っていたことも分かる気がする。僕たちはこの切符を使用開始した時点で九州にいたのだ。その後、本州を行ったり来たりしながら、東北まで歩みを進め、昨日盛岡に来たのだ。盛岡から新函館北斗方面行きの東北新幹線に乗れば、ただそれだけで北海道に到達出来るというのだ。それは分かっているようで分からないことだった。
「分からないものだな・・・。本当にこうやって来ないと。」
「そうねぇ・・・。」
「後は稚内まで行って、九州に戻るだけだな。」
「そう言えるほど、簡単な行程じゃないと思うけどねぇ・・・。」
「そうだな。」
そう話している間に湯の里信号場も、木古内駅も通過していた。列車はトンネルに入り、山の中をぶち抜く。トンネルを抜ければ、右側に函館山を見るようになる。新函館北斗の手前で函館山は右の後ろに去り、一瞬左側に見える。そうすれば新函館北斗駅に入る。少しの停車で列車は新函館北斗を発つ。すぐにトンネルに入り、辺りの景色を眺められなくなってしまった。
長いトンネルを抜けて、内浦湾が遠くに見えるようになると新八雲を通過。しばらく走れば次の停車駅である長万部に到着する。
盛岡駅を出発して2時間15分。北海道新幹線が開業した当時も北海道は近くなったと思ったが、その時は行けて新函館北斗か森の手前ぐらいが限界だったか・・・。函館と札幌の中間ぐらいまでこの時間でこれるようになったというのが大きな進歩だ。
長万部駅では在来線特急に乗り換える。乗り換える先の列車は「スーパー北斗」。昔は函館まで乗り入れていた列車だが、長万部以南が第三セクターの道南いさりび鉄道に移管されたため、これよりも南に特急列車が行くことはない。
長万部10時21分→「スーパー北斗5号」→洞爺10時45分
最長往復切符往路洞爺駅で途中下車
洞爺駅で列車を降り、僕たちは洞爺湖に向かうことにした。駅前でタクシーを拾い、洞爺湖へと近づいた。
タクシーを降りて、僕たちはお土産屋さんに入った。
「ナガシィ。木刀。」
「それがどうかしたの。買ってもかさばるだけだよ。」
「解体なんて言ってないわよ。ほら、この木刀持ったら銀○の坂田○時に見えるかなって。」
「見えるわけないでしょ。」
「えー、だらしないところとかいい加減なところは似てると思うんだけどなぁ。」
「○夜叉とか呼ばれるような能力は持ち合わせていないっつうの・・・。」
一口メモ
北海道旅客鉄道H263系
北海道旅客鉄道が製造した電気式ディーゼル特急。H100形をベースにしており、部品を電車と共通化することでトータルでのコストダウンを図っている。デザインはキハ261系、789系と瓜二つとなっている。最大10両編成を組成できる。
「スーパー北斗」
現在は札幌~長万部間を東室蘭経由で結ぶ列車となっている。長万部では北海道新幹線「はつかり号」に接続しており、東京~長万部~洞爺~伊達紋別~室蘭方面への最速パターンを作っている・・・のだが、長万部での「はつかり」→「スーパー北斗」、「スーパー北斗」→「はつかり」の接続は良いとは言えない。




