635列車 ほっとゆだ
2062年4月14日・金曜日(第38日目)天候:晴れ 東日本旅客鉄道北上線北上駅。
自分たちの頭の上から轟音が響く。東京か盛岡方面に向かっていく東北新幹線が通過していったのか・・・。あれだけの狂気のスピードで通過していると考えるとなぁ・・・。320キロって言うのはどこか300キロと違うらしい。
ここから乗る路線は北上線という。この路線で横手へ抜けていく。次の列車は13時40分発の「快速」列車。だが、時刻表を確認すると途中の黒沢駅まで各駅に停まる。快速と言っても駅を通過するのは横手にかなり近づいてからだ。
北上13時40分→「快速」→ほっとゆだ14時23分
ほっとゆだ駅に到着する手前でゆだ錦秋湖という駅に停まる。近くには湯田ダムのダム湖、錦秋湖がある。北上線はその脇を通り抜けていく。ダム湖の反対側は茶色の山肌が広がる。この辺りの春もまだ来ないらしい。
最長往復切符往路ほっとゆだ駅で途中下車
僕たちはほっとゆだ駅で降りた。反対側には横手駅からやってきた快速列車が止まっている。先に僕たちが乗っていた列車がほっとゆだ駅を発ち、北上行きの快速が発車していった。次の列車は3時間後の横手行きか・・・。
「さて、次の列車まで3時間あるね。」
「まぁ、3時間ここから動けないんだから。ゆっくりお風呂にでも入って疲れでも取ろう。」
「ああ。」
「・・・混浴じゃないから残念なのかな。」
「はっ。」
「ナガシィだって男でしょ。混浴なのが一番良いんじゃない。」
「あのなぁ・・・。そりゃ否定はしないけどこういう所でそう言うのがあるわけないだろ。」
僕はそう言った。
駅舎の中に入り、右を見ると温泉マークがある。ここには駅舎に併設された温泉ではなく、駅舎が温泉に併設しているのだ。ここで3時間時間をつぶそうと考えたのだ。今日は思いっきり長湯ができる。
「じゃあ、ナガシィ。お互いスッキリした後でね。」
萌はそう言い女湯の方に入っていった。僕も男湯に入るか・・・。
スーツを脱ぎ、湯船の方へ赴くとまず目に入るのは信号機だ。
「おお。本当にあるんだ・・・。」
この信号機が何故取り付けられているのかというと、これはほっとゆだ駅に近づいてくる列車のことを示しているという。青はまだまだ列車は遠い駅にいて、黄色、赤となるとまもなく列車がやってくるという合図になっているという。しかも、この信号北田の作り物ではなくて、実際に東日本旅客鉄道が使用していた本物だという。すごいものを設置しているものだと感心する。
「・・・えーっと・・・体洗おう。」




