628列車 阿武隈急行
2062年4月10日・月曜日(第34日目)天候:晴れ 東日本旅客鉄道東北本線岩沼駅。
左側から東北本線が近づいてくる。それと併走するようになると駅を通過する。常磐線と東北本線が合流する駅岩沼駅だ。僕たちの乗っている特急「めぶき3号」は次の停車駅は仙台駅となっていて、岩沼駅には停車しない。
最長往復切符往路岩沼駅まで使用
岩沼→仙台間の乗車券使用開始
ただ、僕はこの間を「めぶき」に乗るとき、岩沼→仙台間の運賃はかからないものと思っていた。それは「分岐駅を列車が通過する列車に乗車する場合の特例」が発効すると思っていたからだ。だが、岩沼→仙台間にそんな特例が発効するとは一言も時刻表には書いていなかった。常磐線のいわき~岩沼間に特急列車が設定されなくなって久しく、常磐線から東北本線へ乗り換えるという想定そのものが無いからだろうか。
だいたい、「めぶき」以外の列車は全て岩沼駅に停車している。さらに、「めぶき」の中でも岩沼駅を通過するのはごく一部だ。ほとんどの列車が停車するにもかかわらず、新たに特例を設定する気も無いのだろう・・・。
仙台の到着手前で左側から高架橋が近づいてくる。ちょうど車両の上部が見える。緑色の上部が消えると今度は赤色の上部が見える。東北新幹線の「はつかり号」と秋田新幹線の「こまち号」だろうか。
新幹線の高架橋も東北本線と同じようにグイと仙台駅手前でカーブし、仙台駅に入る。東北新幹線の仙台駅は東北本線の仙台駅に隣接しない予定だったそうだが、それでは不便と言うことで地元の強い反対に遭ったらしい。この大きいカーブはそのためにできたもので、東北新幹線の仙台近辺のボトルネックとなってしまっている。GPSのアプリで見ていてもこの辺りは160キロ前後しか出していないからなぁ・・・。
「めぶき」は仙台駅に到着。僕たちは東北本線の列車に乗り換える。E723系と同じ青色だが、形式に「SAT723」と入る仙台空港行きの列車には目もくれず、「仙台シティラピッド」と書かれた列車に乗り込んだ。
岩沼→仙台間の乗車券使用終了
仙台12時30分→「快速仙台シティラビット4号」→福島13時48分
仙台→岩沼間の乗車券使用開始および終了
最長往復切符往路岩沼駅より使用再開
岩沼駅で常磐線と別れ、東北本線に入る。次の槻木駅では阿武隈急行線が別れる。阿武隈急行線は東北本線の福島~仙台間を短絡するルートとして建設された。しかし、現在の阿武隈急行線が完成する前に東北本線のブラッシュアップが完了してしまい、優等列車街道となるはずだった阿武隈急行線を作る意味はほとんど失われてしまったのだ。
槻木駅を出発後、進行方向左側に高規格な路線が分かれていく。
「伊勢鉄道みたい・・・。」
萌がぼそりと言う。
「伊勢鉄道ほど良いものでも無いけどなぁ・・・。あっちはまだちゃんとした使われ方をしてるわけだし。」
「・・・あっちも電化されてるから、これだって通れるのにねぇ・・・。」
「白石の方が発展してるからいくら福島に急ぎたくても通る理由も無いよなぁ。」
「・・・。」
「路線的には湖西線みたいな感じかな・・・。乗り遅れ過ぎちゃったけど。」
「日本ってそう言う鉄道線多いよねぇ。三江線しかり、阿武隈急行しかり・・・。」
「鉄道を敷設させることが議員としての実績を広報する広告に使われたところがあるからな・・・。ある意味仕方ない。」
「・・・。」
「逆に広告に使われたからこそ、今は廃止になってもおかしくないような所にも鉄道が延びたとも取れるんじゃ無い。」
「それはそうだけど・・・。」
福島駅に到着する手前になって、東北新幹線の高架橋が現れる。その高架を時速320キロで駆け抜けていく。
槻木駅で別れた阿武隈急行線とも合流し、福島駅に到着。
最長往復切符往路福島駅で途中下車
福島からは東北新幹線で仙台へと駆け戻る。「仙台シティラピッド」で1時間18分かかったところは東北新幹線「やまびこ号」でわずか21分。時速275キロという早さは伊達では無い。
福島14時16分→「やまびこ151号」→仙台14時37分
最長往復切符往路仙台駅で途中下車
「仙台に早く着き過ぎちゃったな。」
「そうねぇ。これからどうする。観光、それとももうホテルに入っちゃう。」
「ホテル入るにも速いだろ。3時ぐらいからだろ。」
「・・・そうねぇ・・・。」
「仙台と言ったら牛タンでしょ。」
「今から牛タン食べるの。」
「お店やってないか。」
「調べる。ちょっと待ってて。」
「・・・中ったら駅弁でも良いだろ。」
「それは嫌・・・。」




