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沈む気持ち、明るい声
「………やだよぉ………おかぁさん…………たすけて………」
小さな声が助けを求める声が暗闇の中で、響いている。
そして、それに被さるように、「かぁってうれしい………はないちもんめ………ふふふ………」
どこか、耳障りで、不気味な声が響いていた…………。
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「いってきまーす!!」
晴れた空の下、重くのしかかるような心を軽くするかのように綾香は大きく息を吸うと、学校へ向かった。その時………
───かぁって……
かすかに風にのって聞こえてきたのは、夢と同じ声だった。だが、その声は、どこか悲しく、夢とは全く違っているのだった。
「綾香!おはよ!」
後ろから突然声をかけられると同時に抱きつかれ、綾香は肩をビクッと跳ね上げると、少し怒ったような様子で、声の主、幼なじみで友人である実夏へと顔を向けた。
「実夏!驚かさないでよぉ………もぅ………」
「あははっ!ごめんごめん!」
明るく、元気な実夏の声は、暗く落ち込んだ綾香の心を軽くしてくれるようだった。