美少女の名前
「あーーー、だるいよーーーーーー」
俺は美少女らしからぬ言動でだるそうに身体検査を受けていた。
血液検査や骨格の変化などよく分からない事ばかり調べられ、今現在は入院させられている。
しかし、
「無駄に広いのね、ここ。」
とにかく広い。病院らしからぬゴージャス空間に入院していた。
貴族令嬢の自室くらい広いんじゃないか?部屋の中心には黄金の円形ラインが引かれた真紅の絨毯が敷かれ、頭上には場違いなまでの豪快なシャンデリアが佇んでいる。
「姉ちゃん何やってんだよ!?朝からずっといないし……どっかでスイーツ巡りでもしてるのかな?」
もしそうだとしたらなんて薄情なんだ!従姉弟がこんなにだるーく過ごしているのに……よし!あとで抹茶パフェを持ってきて貰おう!
そんな暇そうな俺に、その本人が声を掛けてきた。
「よう! リ ヨ ちゃん。お前の好きな抹茶パフェ持ってきてやったぞー!」
さすがハルお姉さま!わかってらっしゃる!
あれ…!? リヨ…!?
「リヨって誰だよ!?従姉弟の名前を間違えるなんて傷つくぞ!!」
いくらからかいでもこの姿で名前まで間違われるのはいささか気分が良くない。
「あれ!?まだお前に言ってなかったっけか!?」
「━━ッ!? ハイ?」
何を?
「お前は今日から夕暮 莉斗改め夕暮 莉依なんだぞ。」
「…………へ!?」
リヨ…誰それ…俺!? 名前変えなきゃ駄目なのは分かるけど……絶対おかしい!
「ちなみに名前の考案は明日香だ。 私の妹という形で学校に編入する事になる。OKか…OKね…OKって事で!」
おい勝手に話を進めるな! なんで俺が知らない間にどんどん話が進んでんだよ!
「頑張れよ。リヨ! 大丈夫だ!お前はゲームでも何でも、自分に厳しい状況程柔軟に対応できる。 お前が心配するべき事はせいぜい赤点を取らないことくらいだ。」
「馬鹿にしすぎだろ!?赤点なんて滅多に取らないぞ!」
いつも悪くて35点です…
「まぁ…お前はやる気出した時だけ百点満点叩き出すからな。私の自慢の 妹 だ!」
妹…ね…そういう認識じゃないとダメなんだな…よし!
「じゃ、後は任せたぞ! お ね え ちゃ ん 。」
「……聞こえなかった……もう一回?」
「何でも無いよー(棒)」
「なんでよーーーー!!!」
ハル姉は…姉ちゃんはうるさい。
PS:明日から学校超楽しみ!