暴雲波乱の殺し屋・リン part4
波乱の旅路・第一章
さてこれはどうしたものだろうか。
ハル姉のマンションに着いたおれは、さっそく取った二人の行動に唖然としていた。
「これ……おいしい。明日香が作ったの?」
「そうよー。いっぱいあるから全然食べて良いからね~♥」
「可愛いー!本当こういう無垢な妹が昔から欲しかったのよねー♥」
「ハルカの家はとっても広い……私達のじむしょより広い……」
どういう訳かこのバカ女子二人は、先程から餌付けをしている。
おそらく正直過ぎる正確が無垢と思われているのだろうが……おれとしては殺されかけた手前、あまりいい気分ではない。
しかし本当にどうしたものだろうか。
リン曰く、時雨団とかいう中二臭い集団で殺し屋をしていたそうだ。
俺への殺害依頼があったので襲ったのだが、予想の他強くて失敗したらしい。
というかおれが本当に一般市民だとしたら今頃死んでたんじゃね?
「お前らなあ……もうちょい警戒心は持った方がいいぞ?こいつ一応おれ殺しに来た殺し屋さんだから」
「莉依は私にこんな幼気な少女を差別しろと言うのか?いいや無理だね。私は人種差別はしない主義だ。ちなみに幽霊は例外だからいつ出てきても遠慮なくお祓いする」
「私、幽霊嫌い……」
…………どうやら目の前の美少女は女の子らしく幽霊は苦手らしい。
「物理攻撃が効かないと殺せない」
「結局そこかよ!」
殺し屋さんは現実主義。
「私も幽霊嫌いだなー……」
「意外だな。お前結構ホラー映画見るのに?」
「幽霊とホラー映画トークしようものなら何か気まずい空気になりそうじゃない?」
「論点そこかよ!」
「私は幽霊好きだな……特にシューティングゲームで撃ち殺すのが楽しい」
「普通に物理攻撃で殺すな!しかも幽霊撃ち殺すシューティングゲームってなんだよ!?お祓いする気ゼロだろ!」
「莉依はハイテクツッコミ」
「その使い方が違って聞こえるのはおれだけですか……」
こうして喋っていると、ただちょっと語彙力の低い子供と話す感覚に近い。
やっぱり殺し屋と言っても中身は十四歳の女の子。
人と喋るのが楽しいのだろう。
いつの間にか暗く曇っていた顔はほのかに笑がかっている。
その様子を見て取ったのか、ハル姉はとんでもない提案をしだした……。
次NEXT⇒ 暴雲波乱の殺し屋・リン part5




