女子高生になってみよう part 1
「しっかし、相変わらず散らかってるなー。」
ハル姉の部屋はいつも散らかしっぱなし。
というのもハル姉は人気ラノベ作家で表向き『取材』 という名のだらけ生活を日々送っているのだ。
ハル姉いわく 「思いっきり遊ぶ分だけ思いっきり楽しいネタが拾える」 らしい。
「まあ座れよ。 って髪の毛邪魔くさいな、 面倒っちい。 おい、切ってやるから洗面所行くぞ。 」
自分のその我が儘ヘアーは邪魔じゃ無いのか。
まあハル姉は普段ポニテで結んでるから邪魔にならないんだろうけど。
「せっかく綺麗な金髪なんだからせめて結ぶとかにしてくれよ。」
俺が抗議の声をあげると何だか恨めしそうに俺を一瞥し、
「いけません! 男の子がそんな長髪なんて、認めませんよ! お姉ちゃんを差し置いてそんな美人になって、我が儘ボディな女子高生なんて… お姉ちゃん許しませんよ!! 」
「ハル姉相当モテるクセに何が我が儘ボディだよ。 ていうかさり気なく女子高生いうな。 お姉ちゃんいうな! 」
確かに元に戻る方法を探している俺としては最もな正論なのだが切るのは何だかもったいない。
と、俺が真面目に考えているのをよそに、
「ぷっ、あっはははははは。 冗談だよ冗談。 悪い悪い、いやなに女のお前もなかなかからかいがいがあるなーって、 つい。」
ムッカー。 こいつ、 人の悩みなんて露ほども知らないくせにー。
「お前を見ていると何だか明日香に似てるって思ってなー。 はぁ、 兄妹だと似るもんなんだなー。 」
夕暮 明日香。 俺の妹だ。 明日香はいつも朝練が早いから今日は何にも話してないな。
父さんは俺が幼い頃他界したから、 今は母さんと明日香の三人で暮らしている。
「じゃあ私とおそろでポニテにするか? 」
「即答で却下する。 」
「なんでだよーー。 」
そういえば、 俺と明日香がハル姉の事をいつも頼っていたのは父さんがいなくなった時いつも傍にいてくれたからだろか。
学校に行く時も俺の家から通学したり、 母さんが仕事で家にいない間よくゲームに付き合ったりしてくれてたからだと思う。
でもポニテはなんかハル姉に負ける気がするからなんか嫌だ。
だったら、 俺は……
「という訳でツインテでお願いします! 」
金髪ツインテとかもう完全に女子じゃねぇか。
こうなったら戻る前に全力で女子姿を楽しんでやる。
「お前、 絶対元に戻る気ないだろ。 」
正直戻りたい。 戻りたいのだがもうどこか戻れないと思い込んでいる自分がいる。
だったらもうこのままモテモテ美少女生活まっしぐらでも良いかなと思っている。
実際童顔なのが原因で女と間違われた事は一度や二度じゃない。
「叔母さんとか明日香に絶対笑われるぞ。 」
「そうだ。 そういえば今の俺をどう説明しよう? ハル姉、なんかいい方法とか無いのか? 」
ずっと考えていたけどこの容姿のせいで忘れがちだった。
「この際叔母さんと明日香だけにでも事情を話して女の子として学校に編入するのがいいと思うんだが…どうだ? 」
なかなかに突拍子もない事を言い出した。
PS:明日香はかなりモテモテで評判によると学園一、二位を争う程だそうです。