インディペンデンスデイ
ザザアアアアッ
今は梅雨時。鬱陶しい程に大量の雨が降っていた。
ハル姉のお天気占い曰く、今年の梅雨は地球温暖化の影響で早めに来ると言っていたが、急な雨なもんで傘は忘れた。
まあ傘の方だけならなんとでもなるのだが……
「莉依ちゃん、俺の傘に入らない?さっきコンビニ行った時に雨降ってたもんで買ったんだけど、結構大きめの買っちゃったんだ。何なら莉依ちゃん独り占めしても良いよ?俺雨平気だから」
「何言ってんだお前。莉依ちゃんの従姉妹の明日香ちゃんが入る分もいるに決まってるだろ?ねぇ莉依ちゃん。俺今日車で迎え来て貰ってるからさ。もし良かったら乗らね?何なら俺んち寄ってっても良いよ。俺んちこう見えて結構豪邸なんだぜ」
…………いかにも今さっき雨の中を走って傘を買ってきた奴と、坊ちゃん気取りの二人組男子が、ここぞとばかりに寄ってきた。
「何言ってんの?こんな幼気な少女を家に引き込んでどうするつもりなのよ?この変態。ねぇ莉依ちゃん、私家近いから雨宿りしてかない?何ならお風呂もあるよ?」
「あんたこそ何幼気な少女をお風呂に引き込もうとしてんのよ?莉依ちゃんが汚れちゃうじゃない?」
「失敬ね!私の家のお風呂。何気に綺麗なんだからね?」
みんな優しいなぁ……。
「あ、あはは……。ありがとうございます皆さん。でも大丈夫です。明日香ちゃんが傘持ってきてくれていますので……」
有難い話を断るのがこんなに心苦しいとは…………。美少女は大変だ。
うちの明日香が用意周到なもんでクラスになかなか馴染めないなぁ……。
それにさっきから女子群にぎゅうぎゅう抱きしめられるが、傘を二刀流の様に携えた明日香の目が痛い。
「そっ、それでは皆さん。また明日ーー!」
裏返った声を捨て台詞に。明日香の元へと駆け寄る。
「お待たせ。ごめん、遅れて」
「…………エッチ」
アスカサン、なんか頬がちょっと赤みがかってますよー?
そのまま二人並んで帰路に経つと、今の俺より背が高い明日香はご機嫌なのか、ちょっとだけ微笑んでいるように見えた…………。
PS:明日香が俺に笑を向ける時は、大体おでこに怒りのマークがある時が殆どです………。あの暴力ゴリラ