からかい上手なお姉様
「どっちにしよう?」
俺は家に帰るなり迷っている事があった。
というのもこの現状の打開策についてではない。
そう。 ポテチのうすしおをを食べるか、コンソメを食べるかについてだ。
普通ならそんな事は迷わない。
俺はいつもコンソメ派だからうすしおはあまり食べない。
しかし、 だ。 今の俺は超絶美少女。
言いたいことはわかると思うがコンソメはすごく太る。
だがコンソメが食べたい、だからこそ今迷っているのだ。
しばらく考え込んでここはプロポーション! って事でうすしおで我慢した。
……うん。 なぜだろう。
前はうすしおをが薄すぎて好きじゃなかったが今は悔しい事に美味すぎる。
やっぱり男女で味の感覚に違いがあるのだろうか? これならうすしおでも全然いけそうだ。
「さて、と。 調べますかね。」
意気込んで調べてみたけど、 結局全く何にも手掛かりなんて無かった。
「くそう。 こんなのって無いよ。 なんとなく分かってたけど…」
今夜のご飯はどうしよう?
今夜の寝床はどうしよう?
絶望に打ちひしがれている中、 俺は最後の賭けに出るべく、 とある人の元へ向かった……
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
俺はとある人に会うため、 その人の住むマンションの部屋のインターホンを鳴らした。
「誰だー? 朝っぱらからー? 配達かー? 」
「あ、あの…えと、 ハル姉。 わかる? 」
そう。 俺の最も信頼している従姉弟のハル姉だ。
「あぁ、 誰だ? 何で私の名前知ってんだよ? 」
当然こういう反応だ。
いくら従姉弟だからって、 今の容姿でわかるはずがない。
「あの、 俺… 」
「もしかして… リトか? 」
「え?」
俺が言うより先に当ててきた。
え、なんでこれで俺ってわかるの?
さすがだと言っても母さんでさえ多分、俺だって気づくのに三年くらいかかるぞ?
「どうして分かったの? 」
「いやー、 あたしのことハル姉って言うのお前くらいしかいねぇだろ? まあ、 大分変わってるからビックリしたけど。 」
その時、 自分でも信じられないくらい高揚していた。
俺でさえ寝ぼけているかと勘違いするくらいのこの美容姿にハル姉は俺だと当ててきたのだ。
たぶんこんなに感動するのは後にも先にもこれっきりだと思う。
ぶっちゃけ元に戻るよりハル姉が理解してくれた方が感動できる。 てか今してる。
「まあ入れよ。 立ち話も難だろ。 」
「あ、ああ。 ありがと。 」
ハル姉の家の中に入るのは久しぶりだ。
一年前ゲームの全国大会の時にハル姉と前準備で夜通し引き篭もっていた時以来だろうか?
「っぷく。 なんつー声してんだよ(笑) 」
「しゃーないだろー。 この声しかでないんだよ。 」
「確かに可愛らしいことで(笑笑) 」
やっぱりハル姉は慣れないや。
でもいつも通りからかってくれるのは戸惑ってる俺に気遣っての事なのかもしれない。
実際俺としても当初よりかなり落ち着いている。
やっぱりハル姉に頼って正解だった。
PS: ハル姉はゲーム大会には出ないけどスコア的には世界ランキングにランクインしてます。