日記8
どうも、浪人です。
山籠もり生活も3日目。
何故か知らないが、じz……師匠に修行して行けと言われて、修行している。
何でも、【見切りの極】と言うスキルを覚えろという。
師匠が言うには、「斬って斬って斬って斬って斬って斬れば覚えられる」とのこと。
俄には信じがたいが、兎に角今は錬金術で作った鉄の棒を斬っている。
使っているのは、鉄の剣。
それと、俺の作る武器は必ず『鉄血』という名前になることに、さっき気付いた。
3日目も続けると随分と馴れるもので、今では【見切り:瞬】【見切り:動】【見切り:静】【見切り:先】と、色々なスキルを入手して、鉄の棒を上から1mmづつ斬ることができる。
「おぉ。末恐ろしいわい」
師匠がそんなことを言うが、今はどうでもいい。
斬って斬って斬って斬りまくるだけ。
山籠もり生活5日目。
『スキル【見切りの極み】を入手しました』
インフォが流れ、スキル欄に【見切りの極み】が追加された。
見切りと付くその他スキルは消えていたが、【見切りの極み】に統合されたのだろう。
「まさか、たった5日で習得するとは思わんかったわい」
「俺も思わなかったよ」
まさかここまで簡単だとは、思わなかったよ。
まぁ、とにかくこれからも鉄を斬り続けよう。
もう日課になっちゃったし、しょうがないよね。
『クエスト《弟子入り》が、《師匠を超えろ》に変化しました』
山籠もり生活7日目。
「師匠。なんか、スキルが生えた」
「うん? どれ、見せてみろ」
【心眼】
全てを見切る。
全てを見通す。
随分と雑な説明だな。
これが何なのか、師匠に聞、
「あばばばばばばばっb」
「師匠!!!!」
どうしよう! 師匠が泡吹いて倒れてる。
ポーション使った方が良いか? それともエーテル!?
『クエスト《師匠を超えろ》をクリアしました。
報酬:称号スキル【超人】」
半日後、師匠は元気になりました。
あと、免許皆伝になりました。
後に、師匠であったNPCはこう語る。
「アレは、化け物じゃ」と。
「てめぇ! 今までどこに行ってた!?」
「いや、それ以前に、どうしてここにいる!?」
街に付くと、カルタからのパンチで御出迎え。
【心眼】が無かったら避けられんかったぞ。
「着物美少女拝みに来たんだよ! それよりも、あの『鉄血』とか言う剣は何だ?」
「わかったわかった、わかったから落ち着け」
俺は、『鉄血』の全容を明かした。
明かすことなんて、あったか?
「あぁ。うん。錬金術で作ったのね。でもさ、問題はそこじゃないんだよ。どうして、そんな剣が持てるかわからないんだよ」
「しらねぇよ」
「お前が知らなくて誰が知ってるんだよ!?」
だから知らんて。
しょうがなく、俺はカルタにステータスを見せた。
名前:浪人
種族:メタル Lv25
金属量:99%
SP:37
スキル:【鉱纏精製】【金属吸収】【錬金術】【身体能力強化】【加重無効】
【巨剣Lv24】【心眼】
称号:【超人】
【加重無効】 Lv無し
状態異常(加重)にならなくなる。
【超人】 称号スキル
人ならざる行為を続けた証。
特殊スキルを取得可能になる。
「人間やめたのな」
失敬な。
「知らないだろうけど、大手ギルドから目を付けられてるぞ、お前」
……
「ギルドって何?」
「そこからかよ」
ギルドとは、同じ目的を持った冒険者の組織のことである。
基本的にギルドは、職業の関係しない『総合ギルド』戦闘職の為の『戦闘ギルド』生産職の為の『生産ギルド』にわかれる。
それ以外のギルドは、大抵リア友やパーティーからの派生で『グループギルド』と呼ばれる。
「本題はここからだ。お前が目をつけられているギルド。『紅蓮謳歌』って言うんだけど」
「それがどうした?」
「どうしたじゃねぇよ! お前が巨剣で吹き飛ばした奴らの中に、『紅蓮謳歌』のギルドメンバーがいたんだよ!」
「へー」
「へーって。お前、もうちょっと関心持とうぜ?」
でもなー。面倒なのは嫌なんだよ。
なんとかならないかなー。
何とかなりませんでした。
只今、逃走中。
『紅蓮謳歌』の部隊に追いかけられている。
街を爆走している。
「ふっふっふ。『紅蓮謳歌』捕縛部隊。AGI極振り、神速のカドラガが相手にnグフォウ!?」
ん? 今何か轢いたか?
「何!? あのカドラガが瞬殺だとぅ!?」
「有り得ん」
「化け物」
失敬な!
誰が化け物だ。
つか、さっき吹き飛ばしたのって『紅蓮謳歌』のメンバーだったのか。
犯罪プレイヤーになってないということは、不可抗力ってことか。よかった。
ちゃんと、カルタの話を聞いておけばよかったな。
走りながら思う。
あれ? なんだか、追いついて来てないかな?
「捕まえた!」
急に腕を掴まれる。
「ちょっ、ええぇ!?」
しかし、そう簡単に止まってはやらない。
俺の手に捕まった誰かをそのまま引きずり、逃走を続ける。
丁度、曲がり角の所で「そげぶっ!!」っと、変な声と共に引きずっていたプレイヤーを引きはがせた。
よしこのまま、逃げ「待てやこるぁあ!!!」れねー。
追って来ていた一人のおっさんが、急に速度を上げて俺の横に並ぶ。
「てめぇ。人様の身内傷付けて、ただでかえれると思うなよ?」
「結構です。ただで帰らせてもらいます」
2016年12月7日
【重力無効】→【加重無効】
2017年1月28日
【人外魔境】→【超人】